今回は、「話し方」から人間性を見極めるポイントを見ていきます。※本連載は、半蔵門パートナーズ・社長で、自身も日本を代表する現役のヘッドハンターとして活躍する武元康明氏の著書、『会社の壁を超えて評価される条件』(徳間書店)の中から一部を抜粋し、経営者の目線で「一流人材の条件」とは何かを見ていきます。

「まくしたてるような早口の人」は要注意

普段、あまり意識することはないかもしれませんが、周囲の人たちはあなたの話し口調や話し方を意外にも気にしているものです。特に初対面のかたにとっては、それがあなたを信用できる人物か、そうではない人物かを探る物差しになることさえある。

 

だから私たちは、相手の心をどうやって見るか、感じるかを意識しつつ、面談を進める必要があります。心を見抜く目を持たなければいけない。

 

ただし、それを身につけるための具体的なノウハウは存在しません。人間は千差万別ですから、その相手に合ったコミュニケーションを通して探っていくしかありません。これは一朝一夕で身に付くものではないのです。

 

しかし、「信用してはいけない人」の特徴というものはマニュアル的にいくつか挙げられます。その一つが、口調、話し方です。

 

よく「まくしたてるような早口の人は信用できない」と言われます。様々な要件の電話を取り次ぐ秘書たちもこう言います。

 

「落ち着きがなく、一方的にまくしたてるような話し方をする相手は信用できないことが多い」

 

同様のことを皆さんも経験されたことがありませんか? 例えば、電話セールス。それも押し売り的な場合、客のほうが途中で電話を切ってしまうことを避けたいがためなのでしょうか、こちらに言葉を挟ませないよう、畳み掛けるような早口で説明を繰り出してくるものです。

 

もはや説明ではありませんけれども、その声は、たいてい高い。話し方は慇いん懃ぎんなようでいて、どこかこちらをバカにしたようなものが多いのではないでしょうか。

早口は「自信のなさ」「恐れ」の表れ

アメリカの心理学者ポール・エクマンによると、人間は心理に「恐れ」があると早口になり、慌てると声が高くなるそうです。つまり、不自然な早口は、伝える内容に自信がないか、魂胆や嘘がばれることを恐れている、とも言えます。

 

一方、売ろうとする商品に自信を持っている人は、聞き取りやすい落ち着いた声で話し、顧客の話にもしっかりと耳を傾けて、双方向のコミュニケーションを図ろうとします。商品知識が豊富で、なおかつ伝えるべき内容に自信があるならば、焦ることもなく自然な口調で商品の良さを顧客に伝えようとする心理が働くからです。

 

皆さんも一度、自分がどんな話し方をしているか、客観的に捉えてみてはいかがでしょうか。営業職に就いている人であれば、成績優秀な人と自分の話し方がどう違うのかを比べてみるのもいいかもしれません。

 

相手を騙そうなどという意識はなくても、緊張感から早口になってしまうことはあるかもしれませんが、その結果、相手に「信用できない人物」と思われてしまっては大きな損です。こんな部分を少し意識するだけで、あなたに対する周りの評価が変わることもあるのです。

会社の壁を超えて評価される条件

会社の壁を超えて評価される条件

武元 康明

徳間書店

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