今回は、採用候補者の「過剰な笑顔・お世辞」に隠された本音について見ていきます。※本連載は、半蔵門パートナーズ・社長で、自身も日本を代表する現役のヘッドハンターとして活躍する武元康明氏の著書、『会社の壁を超えて評価される条件』(徳間書店)の中から一部を抜粋し、経営者の目線で「一流人材の条件」とは何かを見ていきます。

ネガティブな感情を隠す「過剰な笑顔」

邪心のない子どもの無垢な笑顔は心をあたたかくさせてくれます。お子様をお持ちのかたなら、仕事の疲れを癒してくれる栄養剤のような働きもあるかもしれません。しかし、これが大人となると、笑顔を「武器」として使う人もいます。

 

自分の笑顔が相手に好感を持たれることを端から理解して使う、いわゆるビジネススマイルはよくある手です。

 

その一方で、心理学者のエクマンとウォルス・V・フリーセンは「笑顔は真実を隠す偽装に多用される」と説くのです。「作り笑顔」ならかわいいものですが、作為的な笑顔、それが相手の警戒心を解くような魔力的な力を持っているのであれば、恐ろしい話です。

 

また、笑うときの顔の筋肉の動きは、ネガティブな感情を表現するときとはまったく異なるため、ネガティブな感情を隠しやすいともいわれています。あくまでイメージではありますが、詐欺師に無愛想な人はいない気がしませんか? 笑顔で相手の警戒心を解き信用させてしまうからこそ、騙せるのでしょう。

 

私としては人を疑ってかかることをしたくはありませんが、初対面にもかかわらず、やたらとニコニコしている人には警戒も必要です。過剰な笑顔の仮面の下には、良からぬ本心が隠されていることがあるからです。普段のご自身の表情を思い返して、心当たりのあるかたは、ぜひ気をつけていただきたいものです。

ワンマン経営者は「お世辞」に弱い人が多い

また、言葉巧みに相手をほめまくったり、歯の浮くようなお世辞を言うタイプも「信用してはいけない人」の典型例です。

 

人を持ち上げるための知識や情報、根拠を持っていて、意図的にほめちぎっているのであれば、これはもうある種の技術として称賛の域かもしれませんが、その場の思いつきとか、何の根拠もなく大げさなほめ方をする人は、ただ自分が相手に気に入られたいだけにすぎないのかもしれません。そのためなら平気で嘘をつける、「信用してはいけない人」なのです。

 

ほめる行為に近いのがお世辞です。かつての「太鼓持ち」ではありませんが、「よくそんなところにまで目がいって、歯の浮くような台詞を言えるものだ」と思わされる人がいます。

 

第三者として客観的に観察しているぶんには、心のなかで苦笑するだけで済みますが、もし自分がお世辞を言われている当事者だとしたら、不快に感じてしまうかもしれません。ただ、表面的にはけなされているのでもないわけですから、怒ることもできないでしょう。

 

ところが世のなかには、歯の浮くようなお世辞を真に受けてしまう人がいます。典型的な例は、超ワンマンで「裸の王様化」した経営者です。現実を直視できず、周囲の反対意見には耳を貸さない。自分だけが正しいと思い込んでいるようなタイプ。

 

もし、あなたの会社の経営者が、「ヨイショ」に弱く、誰もがお世辞だとわかる言葉に満足そうな表情を浮かべているようなら、その会社の将来は危ういと思ったほうがいいかもしれません。

会社の壁を超えて評価される条件

会社の壁を超えて評価される条件

武元 康明

徳間書店

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