欧米の金融機関が、海外戦略を縮小する隙に・・・
米国発のリーマンショック以降、欧米の金融機関は海外戦略を縮小したが、その隙をついて海外貸出しを拡大させて勢力を伸ばしたのが日本の金融界。
とくに3大メガバンクのうち、一番精力的に動いたのが三菱UFJグループ。2016年3月末の連結海外貸出し額(海外支店+米国など海外現地法人)は約43兆円(前年度比1兆3000億円増加)で、国内住宅ローン向け貸出し15兆5000億円の約2.8倍。国内法人向け貸出し43兆8000億円に次いでいる。
ちなみに2013年9月末と比較すると、国内法人向けが約3兆4000億円増なのに対して、海外向けは約14兆2000億円増加している。
一方、三井住友グループも、アジア・米州・欧州の3地域を軸に海外は重要な戦略地域だ。グループの2016年3月期の部門別業務純益を見ると、国際部門は3979億円と3年連続増益。国内ホールセール部門の4218億円には及ばないが、リテール部門983億円の4倍強、グループ全連結業務純益1兆1429億円の実に34.8%を占めている。もはや、海外部門は収益の大きな柱になった。
証券界では、企業によって海外戦略に大きな違いが
証券界では、海外展開の先頭を走ってきた野村グループが、海外部門の大リストラを実行している。欧州では株式のリサーチ、営業、トレーディング、引受業務からの撤退を計画している。「トップテンのグローバルの旗を」の目標を今後掲げるか、つまり、再度海外戦線を拡大するかどうかは未知数だ。
大和証券グループは、三井住友グループとの合弁解消後、組織再編を進めてきたが、その一つが海外事業の再編。営業収益の約9割を国内業務に依存しているが、今後はアジアでの業務拡大を目指して積極的なアライアンスを行なう方針だ。