(※写真はイメージです/PIXTA)

年金生活を送る高齢夫婦のなかには、成人した子どもから経済的な援助を受けている家庭もあります。毎月の仕送りは家計を支える大きな助けになりますが、子ども自身の生活にも変化があり、いつまでも続けられるとは限りません。長年受け取ってきた援助がなくなったとき、親世代はどのように暮らしを見直すのでしょうか。75歳の夫婦も、息子からの一本の電話をきっかけに、老後の生活設計を考え直すことになりました。 ※本記事に掲載している事例は、プライバシー保護および情報の一般化のため、実際の相談事例をベースに一部の数値や設定を変更・再構成したモデルケースです。

「外食を減らすだけでは足りない」年金17万円・夫婦の現実

仕送りが終了した翌月、和子さんは家計簿を広げ、これまでの支出を一つずつ確認しました。

 

食費は月約5万円、光熱費が約2万5,000円、通信費が約1万5,000円。医療費や日用品代なども含めると、生活費は簡単には減らせません。

 

「外食を減らせばいいと思っていたけれど、それだけでは3万円も浮かないんですよね」

 

総務省統計局『家計調査報告〔家計収支編〕2025年平均結果の概要』によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯では、月平均の可処分所得が22万1,544円、消費支出が26万3,979円となっています。毎月約4万2,000円の不足が生じており、貯蓄の取り崩しなどで補っている状況です。

 

信一さん夫婦も、年金だけで生活費を賄う難しさを改めて感じました。

 

2人はまず、ほとんど利用していなかった有料サービスを解約し、通信料金も見直しました。買い物では食材をまとめ買いし、外食の回数も減らすことにしたそうです。

 

それでも、毎月の支出を17万円以下に抑えるのは難しく、当面は貯蓄から不足分を補うことにしました。

 

「貯金はありますが、家の修理や病気のことも考えると、できるだけ残しておきたいんです」

 

数週間後、直人さんが孫たちを連れて実家を訪れました。信一さんは、仕送りのことを改めて話したそうです。

 

「今まで本当に助かったよ。10年間もありがとうな」

 

直人さんは「もっと早く相談すればよかった」と答えました。

 

「実は、去年くらいから家計が厳しくなっていたんだ。でも、急にやめたら困るだろうと思って、なかなか言い出せなかった」

 

その言葉を聞いて、信一さんは息子にも負担をかけていたことを実感したといいます。

 

「こちらが頼っていた分、息子も無理をしていたんですね。もう少し早く気づいてあげればよかったと思いました」

 

現在、夫婦は月の支出を約18万円まで減らし、足りない分は貯蓄から補っています。年金の手取り額や年払いの支出も確認し、今後の家計について夫婦で話し合う機会が増えたそうです。

 

「息子には息子の生活がありますからね。これからは、私たちの収入と貯金で暮らしていく方法を考えたいです」

 

親への仕送りは、子どもの収入や家族構成、教育費などによって継続が難しくなる場合があります。援助を受ける側も、いつか終了する可能性を踏まえて生活費を把握し、必要に応じて支出を見直しておくことが大切です。家族がお互いの事情を伝え合い、無理のない範囲で支え合うことが、長く良好な関係を保つことにつながるでしょう。

 

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