「預けておくだけではもったいない」70歳で始めた新NISA
72歳の千恵子さん(仮名)は、首都圏の分譲マンションで一人暮らしをしています。
長年勤めた会社を退職し、現在の年金収入は月約17万円。住宅ローンは完済しており、預金と投資信託を合わせた金融資産は約1,300万円あります。
千恵子さんが投資を始めたのは、70歳になった2024年のことでした。それまでは資産のほとんどを銀行預金で管理しており、株式や投資信託を購入した経験はありません。
「投資は若い人がするものだと思っていたんです。私の年齢から始めても、あまり意味がないんじゃないかと」
そんな千恵子さんの考えが変わったのは、40代の息子との会話がきっかけでした。
「新NISAなら利益に税金がかからないし、少しずつ始めてみてもいいんじゃない?」
息子から制度について教えてもらい、自分でも調べるようになったそうです。
ただ、年金生活で大きな損失を出すことには抵抗がありました。
「老後のお金ですから、減ってしまったら困ります。最初は月3万円くらいなら大丈夫かなと思ったんです」
千恵子さんは銀行でNISA口座を開設し、つみたて投資枠で全世界株式に投資する投資信託を購入することにしました。
毎月の積立額は3万円。年金だけでは余裕のない月もあるため、生活費とは分けて管理していた預金から投資に回していました。
その後、値動きに慣れてきたこともあり、成長投資枠でも株式型の投資信託を購入。2025年末までに、投資した金額は合計約200万円になりました。
投資を始めた頃は、評価額が数千円増えるだけでもうれしかったといいます。
「銀行に預けていても、こんなに増えなかったでしょう。もっと早く始めればよかったと思いました」
相場が好調だった時期には、200万円の投資元本に対して評価額が約225万円まで上昇しました。
画面に表示されたプラス25万円という数字を見て、旅行や家電の買い替えに使うことも考えたそうです。しかし、すぐに売却することはありませんでした。
「息子から長く持つのが基本だと聞いていましたし、もう少し増えるかもしれないと思ったんです」
ところがその後の相場の下落によって、千恵子さんの気持ちは大きく変わっていきました。
