「孫に会えない休日も楽しい」74歳女性が始めた新しい生活
その言葉をきっかけに、節子さんは自分の過ごし方を考えるようになりました。
「孫が来てくれるのはうれしいけれど、いつ来るかわからないのに、ずっと家で待っているのももったいないですよね」
まず始めたのは、以前から興味があった水彩画教室でした。月に2回、地域の文化センターへ通い、風景や季節の花を描くようになったそうです。
最初は知り合いもおらず緊張しましたが、同年代の参加者と話すうちに、教室へ行くこと自体が楽しみになっていきました。
内閣府『令和5年度 高齢者の住宅と生活環境に関する調査』によると、この1年間に参加した活動として「健康・スポーツ」を挙げた人は30.3%、「地域行事」は21.9%、「趣味」は15.9%でした。高齢期にも、地域活動や趣味を通じて人とのつながりを持つ人がいます。
節子さんも、教室で知り合った友人と美術館へ出かけたり、夫と近場の温泉へ旅行したりするようになりました。
「前はカレンダーに孫が来る予定を書き込むのが楽しみだったんです。今は自分の予定も増えて、毎月あっという間ですよ」
そんなある日、息子から電話がありました。
「来週の日曜日、みんなでそっちに行こうと思うんだけど、空いてる?」
以前なら、迷わず「もちろん」と答えていた節子さん。しかし、その日は水彩画教室の仲間と出かける約束がありました。
「ごめんね。その日は予定があるから、次の週なら大丈夫よ」
息子は少し驚いた様子でしたが、「わかった。じゃあ次の週にしよう」と返してくれたそうです。
「断ったら来てくれなくなるんじゃないかって、前は心配していたんです。でも、そんなことはありませんでした」
翌週、久しぶりに訪ねてきた孫たちは、節子さんの描いた絵を見て「おばあちゃん、こんなの描けるの?」と驚いていました。
上の孫は「私も描いてみたい」と言い、節子さんと一緒に画用紙に向かったそうです。
「孫たちと過ごす時間は今でも大好きです。でも、私にも楽しみがあると、会ったときに話すことが増えるんですね」
節子さんは今後も水彩画を続け、いつか友人たちと旅行にも行きたいと考えています。
孫の成長とともに、祖父母との交流の頻度や過ごし方は変わっていきます。会える機会を大切にしながら、自分の趣味や友人との付き合いにも時間を使うことで、日々の楽しみを広げられるでしょう。家族それぞれの生活を尊重し、自分自身の予定も大切にすることが、長く心地よい関係を続けるための一つの方法です。
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