「何を話しても否定される」43歳娘が初めて打ち明けた気持ち
「お母さんには今まで何でも話してきたけど、最近は話すのがしんどい。もう無理かもしれない」
メッセージは、そんな言葉から始まっていました。
「仕事で嫌なことがあったと話せば、我慢が足りないと言われる。子どものことで悩んでいると話せば、私の育て方が悪いみたいに言われる。お母さんは心配して言ってくれているんだと思うけど、私はただ話を聞いてほしいときもあるんだよ」
さらに、こんな言葉が続いていました。
「何か話すたびに『こうしたほうがいい』と言われると、また否定されるんじゃないかと思ってしまう。だから最近は、何も話さないほうが楽だと思うようになった」
洋子さんは何度も読み返したといいます。
「そんなふうに思っていたなんて、全然知りませんでした。娘のために言っていたつもりだったので、最初はショックでしたね」
すぐに返信しようとしましたが、何を書けばよいかわからず、その日はスマートフォンを置きました。
翌朝、これまでのやり取りを読み返すと、娘が悩みを打ち明けるたびに、自分が解決策を示そうとしていたことに気づいたそうです。
内閣府『令和5年度 高齢者の住宅と生活環境に関する調査』によると、日常生活で家族や知人から頼られる内容として「喜びや悲しみを分かち合うこと」を挙げた人は33.6%、「健康や家庭内でのトラブルなどの相談」は22.4%でした。
家族の相談相手になる高齢者は少なくありませんが、相手が求める関わり方は、そのときの状況によっても変わります。
洋子さんは翌日、娘に短い返信を送りました。
「今まで嫌な思いをさせていたんだね。気づかなくてごめんね。これからは、あなたの話をちゃんと聞くようにするね」
麻衣さんからは「読んでくれてありがとう。少し時間がほしい」と返ってきました。
それから約1ヵ月、親子の連絡は必要な用件が中心になりました。洋子さんは寂しさを感じながらも、以前のように何度も連絡することは控えたそうです。
その後、麻衣さんから「今度、一緒にお昼でも食べない?」とLINEが届きました。
久しぶりに会った娘は、仕事の近況を少しずつ話してくれました。洋子さんは途中で意見を言いたくなることもありましたが、まずは最後まで聞くようにしたといいます。
「娘が何を考えているのか、私はちゃんと聞けていなかったんですね。これから少しずつ、また話してもらえるようになれたらと思います」
親子の関係は、子どもが成人し、家庭や仕事を持つにつれて変化していきます。長年親身になってきたつもりでも、相手が助言を求めているとは限りません。身近な家族だからこそ、相手の言葉に耳を傾け、必要な距離を尊重することが、良好な関係を保つうえで大切になるでしょう。
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