(※写真はイメージです/PIXTA)

親子の仲がよく、大人になってからも頻繁に連絡を取り合う家庭は少なくありません。仕事や家庭の悩みを相談したり、何気ない出来事を報告したりする時間は、親にとってもうれしいものでしょう。しかし、長年続いてきた親子の会話のなかで、知らず知らずのうちに相手を傷つけていることもあります。71歳の女性は、娘から届いた一通のLINEをきっかけに、これまでの関わり方を振り返ることになりました。 ※本記事に掲載している事例は、プライバシー保護および情報の一般化のため、実際の相談事例をベースに一部の数値や設定を変更・再構成したモデルケースです。

「何を話しても否定される」43歳娘が初めて打ち明けた気持ち

「お母さんには今まで何でも話してきたけど、最近は話すのがしんどい。もう無理かもしれない」

 

メッセージは、そんな言葉から始まっていました。

 

「仕事で嫌なことがあったと話せば、我慢が足りないと言われる。子どものことで悩んでいると話せば、私の育て方が悪いみたいに言われる。お母さんは心配して言ってくれているんだと思うけど、私はただ話を聞いてほしいときもあるんだよ」

 

さらに、こんな言葉が続いていました。

 

「何か話すたびに『こうしたほうがいい』と言われると、また否定されるんじゃないかと思ってしまう。だから最近は、何も話さないほうが楽だと思うようになった」

 

洋子さんは何度も読み返したといいます。

 

「そんなふうに思っていたなんて、全然知りませんでした。娘のために言っていたつもりだったので、最初はショックでしたね」

 

すぐに返信しようとしましたが、何を書けばよいかわからず、その日はスマートフォンを置きました。

 

翌朝、これまでのやり取りを読み返すと、娘が悩みを打ち明けるたびに、自分が解決策を示そうとしていたことに気づいたそうです。

 

内閣府『令和5年度 高齢者の住宅と生活環境に関する調査』によると、日常生活で家族や知人から頼られる内容として「喜びや悲しみを分かち合うこと」を挙げた人は33.6%、「健康や家庭内でのトラブルなどの相談」は22.4%でした。

 

家族の相談相手になる高齢者は少なくありませんが、相手が求める関わり方は、そのときの状況によっても変わります。

 

洋子さんは翌日、娘に短い返信を送りました。

 

「今まで嫌な思いをさせていたんだね。気づかなくてごめんね。これからは、あなたの話をちゃんと聞くようにするね」

 

麻衣さんからは「読んでくれてありがとう。少し時間がほしい」と返ってきました。

 

それから約1ヵ月、親子の連絡は必要な用件が中心になりました。洋子さんは寂しさを感じながらも、以前のように何度も連絡することは控えたそうです。

 

その後、麻衣さんから「今度、一緒にお昼でも食べない?」とLINEが届きました。

 

久しぶりに会った娘は、仕事の近況を少しずつ話してくれました。洋子さんは途中で意見を言いたくなることもありましたが、まずは最後まで聞くようにしたといいます。

 

「娘が何を考えているのか、私はちゃんと聞けていなかったんですね。これから少しずつ、また話してもらえるようになれたらと思います」

 

親子の関係は、子どもが成人し、家庭や仕事を持つにつれて変化していきます。長年親身になってきたつもりでも、相手が助言を求めているとは限りません。身近な家族だからこそ、相手の言葉に耳を傾け、必要な距離を尊重することが、良好な関係を保つうえで大切になるでしょう。

 

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