(※写真はイメージです/PIXTA)

祖父母が孫の進学に際して、学費や生活費を援助することがあります。孫の将来を応援したいという気持ちからの支援でも、兄弟の家庭によって援助額に大きな差があると、思わぬ不満につながる場合があります。特に、援助した理由や経緯が十分に伝わっていないと、親子や兄弟の関係にも影響が及ぶことがあるようです。 ※本記事に掲載している事例は、プライバシー保護および情報の一般化のため、実際の相談事例をベースに一部の数値や設定を変更・再構成したモデルケースです。

 「頼らなかったほうが損なの?」次男が打ち明けた本音

電話を終えた敏夫さんは、和子さんに相談しました。

 

「長男が困っていたから助けただけなのに、そんなにおかしいことをしたのかな」

 

和子さんは、援助したこと自体は間違っていなかったと思う一方、次男の気持ちも理解できると話しました。

 

「裕介だって、学費を払うのは大変だったはずよ。私たちが何も聞かなかったから、相談しづらかったのかもしれないわね」

 

文部科学省『令和5年度子供の学習費調査』によると、子ども1人当たりの年間学習費総額は、公立高校で約60万円、私立高校で約118万円となっています。大学進学に際しては、これまでの教育費に加えて、入学金や授業料、下宿費用などの負担も生じます。

 

ただし、敏夫さん夫婦が援助した300万円は、老後の貯蓄2,500万円の12%に相当する金額です。今後の医療費や介護費用も考え、孫への大きな援助を繰り返すつもりはありませんでした。

 

数日後、敏夫さんは裕介さんと直接話す機会を設けました。

 

「お前たちを軽く見ていたわけじゃない。あのときは直樹が困っていたから、助けることにしたんだ」

 

裕介さんはしばらく黙っていましたが、やがてこう答えました。

 

「俺たちも余裕があったわけじゃないよ。兄貴のところだけそんなに出してもらっていたなんて、知らなかった」

 

さらに、裕介さんはこう続けました。

 

「親に頼らずに頑張ったほうが損だったみたいで、なんだか納得できないんだよ」

 

敏夫さんは、次男が感じていたのは金額の差だけではなかったと気づきました。

 

それ以来、兄弟が実家で顔を合わせる機会は減っています。

 

敏夫さん夫婦は、今後の援助について改めて話し合いました。しかし、すでに長男の子に約300万円の援助を約束しており、次男の子にも同額を出すとなれば、老後資金への影響は小さくありません。

 

なお、祖父母による教育費の援助では、贈与税にも注意が必要です。

 

国税庁『No.4405 贈与税がかからない場合』では、扶養義務者が教育費として通常必要な金額を、必要な都度直接支払う場合、原則として贈与税はかからないとされています。一方、教育費の名目でまとまった現金を渡し、預貯金として残す場合などは課税対象となることがあります。

 

敏夫さんは、孫の将来を支えたいという気持ちは今も変わらないといいます。

 

「長男に援助するとき、次男のことまで考えが及んでいませんでした。あのとき、もう少し家族で話しておけばよかったと思います」

 

孫への経済的な援助は、家庭ごとの事情によって必要な金額が異なります。しかし、援助の差が大きい場合、理由が伝わらなければ不公平感を生むこともあります。老後資金への影響を踏まえて援助の方針を決めるとともに、家族の間で認識のずれが生じないよう、金額や支援の考え方について丁寧に話し合うことが大切です。

 

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