「贈与税はほとんどかからないと思ったのに…」分譲マンションを長女に贈与した70歳男性「200万円分の贈与」のつもりが「贈与税680万円」になった〈致命的な見落とし〉【税理士が解説】

「贈与税はほとんどかからないと思ったのに…」分譲マンションを長女に贈与した70歳男性「200万円分の贈与」のつもりが「贈与税680万円」になった〈致命的な見落とし〉【税理士が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

「子どもにマンションの名義を移しておけば、将来の相続が楽になる」――。そう考えて、生前に不動産を贈与する方は少なくありません。不動産は現金よりも低い価額で評価されるため、贈与に向いているといわれることもあります。しかし、贈与の仕方によっては評価額が大きく変わり、贈与税のほかに登記や取得にかかる税金も発生します。名義を移す前に何を確認すべきなのか、税理士の辻光明氏が事例をもとに解説します。※本記事に掲載している事例は、プライバシー保護および情報の一般化のため、実際の相談事例をベースに一部の数値や設定を変更・再構成したモデルケースです。

不動産の贈与で押さえておきたい3つのポイント

今回の事例から分かるのは、不動産の贈与は「何円の評価になるか」が贈与の方法によって大きく変わるということです。押さえておきたいポイントは次の3つです。

1. 評価方法

1つ目は、評価の方法です。通常の贈与であれば、建物は固定資産税評価額、土地は路線価などをもとにした相続税評価額で評価します。

 

ただし、分譲マンションについては2024年1月から評価の方法が見直され、築年数や階数などによっては、従来より評価額が高くなることがあります。

2. ローンや敷金を含めて引き継がせる場合

2つ目は、ローンや敷金などの「負担」を一緒に引き継がせる場合です。

 

この場合は負担付贈与となり、評価は時価に近い価額になります。賃貸中の部屋では、借主から預かっている敷金を返す義務を引き継ぐことも、負担になりえます。

3. 贈与税以外の税金

3つ目は、贈与税以外の税金です。贈与で不動産を取得すると、登録免許税(固定資産税評価額の2%)と不動産取得税がかかります。相続であれば不動産取得税はかからず、登録免許税も0.4%で済みます。

 

また、自宅や貸付用の土地の評価を下げられる「小規模宅地等の特例」は、相続では使えても、贈与では使えません。

名義を移す前に、まず「贈与するか、相続を待つか」を比べる

田中さんのようなトラブルを防ぐには、名義を移す前に、次の順番で検討することをおすすめします。

 

まず、ローンは親が返済を続け、不動産だけを贈与できないかを考えます。ローンを引き継がせなければ負担付贈与にはならず、通常の評価で計算できます。

 

次に、贈与の方法を選びます。毎年110万円までが非課税の暦年課税のほか、60歳以上の親から18歳以上の子や孫への贈与であれば、累計2,500万円まで贈与税がかからない「相続時精算課税」を選ぶこともできます。

 

ただし、相続時精算課税で贈与した財産は、原則として相続のときに相続財産へ加えて相続税を計算しますし、小規模宅地等の特例も使えなくなります。

 

そのうえで、「いま贈与する」場合と「相続まで待つ」場合のそれぞれについて、贈与税・相続税・登録免許税・不動産取得税の合計を比べてみることが大切です。家賃収入がある部屋なら、毎年の家賃を誰が受け取るかによって、将来の相続財産の増え方も変わります。

 

「名義を移せば安心」と考える前に、評価額と税金の合計を一度試算してみる。不動産の贈与は、その一手間で結果が大きく変わります。

 

 

辻 光明

税理士法人 辻総合会計/株式会社 メディカル・アセッツ

公認会計士・税理士

※本記事に掲載している事例は、プライバシー保護および情報の一般化のため、実際の相談事例をベースに一部の数値や設定を変更・再構成したモデルケースです。

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