息子夫婦が招待をためらった理由
健太さんによると、問題は数ヵ月前から続いていました。結衣ちゃんが欲しがっていたゲーム機を、正雄さんが親に相談せず購入したことがあったのです。
息子夫婦は、ゲームで遊ぶ時間や学校の宿題との両立を考え、購入を先延ばしにしていました。
ところが、正雄さんは孫から「友達はみんな持っている」と聞き、約4万円のゲーム機をプレゼントしてしまったといいます。
「結衣は喜んでいたけど、俺たちはまだ買わないって話していたんだよ」
その後も、結衣ちゃんが欲しがるものを買い与えたり、親が控えるように言っていたお菓子を渡したりすることがありました。
「父さんが来ると、結衣が何か買ってもらえると思うようになってしまって。断ると『おじいちゃんは買ってくれるのに』って言うんだ」
誕生日会でも高額なプレゼントを持参されるのではないかと、息子夫婦は心配していたそうです。
「だったら、直接言ってくれればよかったじゃないか」
正雄さんがそう返すと、健太さんは「前にも相談したよ。でも、父さんは『俺のお金なんだからいいだろう』って」と答えました。
正雄さんは、そのやり取りを思い出しました。当時は孫を喜ばせているだけだと考え、息子の言葉を深刻に受け止めていなかったのです。
内閣府『令和5年度 高齢者の住宅と生活環境に関する調査』によると、65歳以上の人が日常生活で家族や知人から頼られる内容として、「子や孫の世話」を挙げた人は26.0%、「喜びや悲しみを分かち合うこと」は33.6%でした。高齢者にとって、子や孫との関わりが日常生活の一部になっているケースもあります。
「孫が喜んでくれるなら、それでいいと思っていた。でも、息子たちの考えを聞いていなかったんですね」
数日後、正雄さんは息子夫婦と改めて話し合いました。
「今まで勝手に買って悪かった。これからは、何か贈る前に相談するよ」
健太さんも「誕生日会のことを隠したのはよくなかった。結衣にも内緒にさせてしまって、ごめん」と謝りました。
結局、正雄さんが準備していたプレゼントは、結衣ちゃんが好きな絵本と文房具でした。息子夫婦に確認してから、次に会うときに渡すことにしました。
「孫に嫌われたくない気持ちもあったのかもしれません。でも、物を買わなくても、一緒に過ごす時間を大切にしたいですね」
今では、結衣ちゃんと公園を散歩したり、一緒に料理をしたりする機会も増えたそうです。
孫への贈り物は、祖父母にとって愛情を伝える方法の一つです。ただ、子育ての方針や家庭の事情によって、親が望む関わり方は異なります。金額や品物を決める前に親の意向を確かめ、行き違いが生じたときには早めに話し合うことが、家族の関係を保つうえで大切になるでしょう。
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