(※写真はイメージです/PIXTA)

退職後は自然に囲まれた場所で暮らしたい。そんな希望をかなえるため、都市部から地方へ移住する人もいます。庭のある家で季節の移ろいを楽しむ生活には魅力がありますが、交通手段や地域との付き合いなど、住んでみて初めて分かることもあります。夫婦で同じ移住先を選んでも、毎日の過ごし方に求めるものが違えば、少しずつ不満が生まれることもあるでしょう。 ※本記事に掲載している事例は、プライバシー保護および情報の一般化のため、実際の相談事例をベースに一部の数値や設定を変更・再構成したモデルケースです。

「あなたは楽しいでしょうけど…」2年目に表面化した本音

恵子さんが不満を感じていたのは、友人に会えないことだけではありませんでした。

 

隆夫さんは車の運転が好きで、買い物や用事にも気軽に出かけます。一方恵子さんは長年ほとんど運転しておらず、知らない山道を一人で走ることに抵抗がありました。

 

「買い物に行きたいと思っても、夫に車を出してもらわないといけない。ちょっと出かけるだけなのに、毎回お願いするのが嫌になってきて」

 

ある日、恵子さんが「週末、街まで買い物に行かない?」と誘うと、隆夫さんは庭の手入れを理由に断りました。

 

「来週じゃ駄目かな。今、畑のほうが忙しいんだよ」

 

その言葉に、恵子さんは思わず本音を漏らしました。

 

「あなたは毎日楽しいでしょうけど、私はここにいると息が詰まるのよ」

 

隆夫さんは驚きました。

 

「一緒に田舎暮らしを楽しんでいると思っていた。そんなに嫌だったのか?」

 

「嫌になったわけじゃないの。ただ、どこへ行くにも車が必要で、友達にも簡単に会えない。こんなに不自由だとは思わなかった」

 

内閣府『令和5年度 高齢者の住宅と生活環境に関する調査』によると、65歳以上の人が現在住んでいる地域で不便に感じることとして、「日常の買い物に不便」が23.9%、「医院や病院への通院に不便」が23.8%、「交通機関が高齢者には使いにくい、または整備されていない」が21.5%となっています。

 

恵子さんの話を聞いた隆夫さんは、妻が一人で外出しにくいことを、これまで深く考えていなかったと気づきました。

 

「自分は庭にいるだけで楽しいけれど、妻はそうじゃなかったんですね」

 

夫婦は、今後の暮らし方について改めて話し合いました。

 

まず、週に1回は2人で街へ出かける日を設けることに。恵子さんが友人と会う際には、駅まで送迎することも決めました。

 

また、近隣の文化施設で開かれている講座を調べ、恵子さんは以前から興味のあった陶芸教室に通い始めました。

 

「家のことばかり考えていましたが、自分の楽しみを持つことも大事だと思いました」

 

隆夫さんも、庭仕事の予定を優先しすぎないよう意識するようになったといいます。

 

恵子さんは今後、車の運転が難しくなったときのことも心配しています。夫婦は数年後をめどに、交通の便がよい地域への住み替えも選択肢として考えることにしました。

 

「ここで暮らし続けるかどうかは、もう少し時間をかけて決めたいです」

 

地方移住を考える際には、住宅の価格や自然環境だけでなく、買い物や通院のしやすさ、趣味や交友関係を維持できるかどうかも確認しておく必要があります。特に夫婦で移住する場合は、それぞれが日常生活で何を大切にしたいのか、具体的に話し合っておくことが、移住後の満足度を左右するでしょう。

 

【関連記事】

■月20万円もらえるはずが…45歳・サラリーマン「ねんきん定期便」に抱いた違和感。「年金ルール」知らずにそのまま20年…65歳で受け取ることになる年金額に唖然「何かの間違いでは?」

 

■「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】

 

■親が「総額3,000万円」を子・孫の口座にこっそり貯金…家族も知らないのに「税務署」には“バレる”ワケ【税理士が解説】

 

 

 

 

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録
会員向けセミナーの一覧