「電話が鳴ると、何かあったのかと思う」娘が打ち明けた本音
真理さんは、母親との会話そのものが嫌だったわけではありません。
「お母さんが元気なのはうれしいよ。でも、仕事中も着信が残っていると、何かあったのかと心配になるの」
真理さんによると、会議中や移動中に母親から電話があり、折り返すと急ぎではない話だったことが何度もあったそうです。
「電話に出られないと悪い気がするし、出たら今度は家事が遅れる。最近は、着信を見るだけで疲れてしまうこともあった」
澄子さんは、娘がそこまで負担を感じていたとは思いもしませんでした。
厚生労働省『2024(令和6)年 国民生活基礎調査』によると、65歳以上の人がいる世帯のうち、単独世帯は31.7%を占めています。高齢期の一人暮らしは珍しいものではなく、離れて暮らす家族との連絡方法を考える機会も増えています。
「一人でいると、誰かと話したくなるのよ。でも、真理にも真理の生活があるものね」
澄子さんがそう話すと、真理さんは「電話しないでほしいわけじゃないよ」と答えました。
そこで親子は、連絡の取り方を見直すことにしました。
急ぎの用事がなければ、電話は週に1回、日曜日の夕方にすること。それ以外の日に伝えたいことがあれば、まず短いメッセージを送ることにしました。
澄子さんはスマートフォンで文字を入力するのが得意ではありませんが、真理さんに教えてもらいながら練習を始めました。
また、近所の公民館で開かれている体操教室にも参加するようになりました。
「前から誘われていたんですけど、何となく行きそびれていて。行ってみたら、同じくらいの年齢の人も多くて楽しかったです」
教室で顔見知りができ、帰りにお茶を飲む機会も増えました。
それから約1ヵ月。澄子さんは、以前ほど頻繁に娘へ電話をかけなくなったといいます。
「日曜日になると、今週は何を話そうかなって考えるんです。娘の話も、前よりゆっくり聞けるようになりました」
真理さんも、決まった時間なら落ち着いて母親の話を聞けると話しています。
離れて暮らす親子の連絡頻度に、誰にでも当てはまる正解があるわけではありません。仕事や家庭の状況、健康状態によって、無理なく連絡できる回数は変わります。互いの生活を尊重しながら、緊急時の連絡方法も含めて話し合っておくことが、安心して関係を続けるための助けになるでしょう。
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