「こんなに減っていたなんて」自宅の修繕費を前に気づいた現実
ある雨の日、美代子さんは自宅の天井に小さな染みを見つけました。
築35年を超える一戸建てです。業者に点検を依頼すると、屋根の一部から雨水が入り込んでおり、補修が必要だと説明されました。
さらに傷んでいた外壁や雨どいの修繕も勧められ、見積額は合計約220万円に上りました。
「そんなにかかるんですか?」
突然の出費に驚いた美代子さんは、久しぶりに通帳を詳しく確認しました。
すると、相続後に1,800万円あった金融資産は、約1,100万円まで減っていたのです。旅行や買い物に使ったお金だけでなく、毎月の生活費の不足分、固定資産税や家電の買い替えなども積み重なっていました。
「1,000万円も相続したんだから、しばらくは大丈夫だと思っていたんです。こんなに減っていたなんて……」
修繕費220万円を支払えば、手元には約880万円が残る計算です。
総務省統計局『家計調査報告〔家計収支編〕2025年平均結果の概要』によると、65歳以上の単身無職世帯の月平均可処分所得は11万8,465円、消費支出は14万8,445円で、毎月約3万円の不足となっています。
美代子さんも、年金だけで生活費を賄えない月が多くありました。今後、医療費や介護費用が増える可能性を考えると、これまでと同じペースでお金を使い続けることに不安を感じたといいます。
「旅行に行ったことは後悔していません。でも、家の修理にこんなにお金がかかるとは考えていませんでした」
娘にも事情を話すと、「楽しむのはいいけど、これから必要なお金は残しておいてほしい」と言われました。
美代子さんは複数の業者から見積もりを取り、緊急性の高い屋根の補修を優先することに。外壁などの工事についても、必要な範囲や時期を確認しながら進める予定です。
また、旅行や買い物に使う年間予算を決め、日々の生活費とは分けて管理することにしました。
「お金があると、つい安心してしまうんですね。これからは残高を確認しながら楽しもうと思います」
相続によってまとまった資金を得た場合、使い道を考える際には、毎月の生活費だけでなく、住宅の修繕や医療・介護など、将来発生する可能性のある支出も見込んでおくことが大切です。楽しみのために使える金額をあらかじめ決めておけば、貯蓄の減少に気づかないまま支出が膨らむ事態も防ぎやすくなるでしょう。
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