(※写真はイメージです/PIXTA)

夫婦のどちらか一方が家計を管理している場合、もう一方は毎月の支出や貯蓄額を正確に把握していないことがあります。収入が安定していても、日々の買い物や教育費、住宅ローンなどが重なれば、思うようにお金が残らないこともあるでしょう。特に定年が近づく時期には、これまでの支出を振り返り、退職後の生活資金を確認しておく必要があります。 ※本記事に掲載している事例は、プライバシー保護および情報の一般化のため、実際の相談事例をベースに一部の数値や設定を変更・再構成したモデルケースです。

「少しくらいならと思っていた」妻の買い物と貯蓄の現実

由紀さんによると、買い物が増え始めたのは、娘が大学に進学したころからでした。

 

「娘のことも少し落ち着いたし、自分の服くらい買ってもいいかなって。1回に何万円も使うわけじゃないから、あまり気にしていなかったの」

 

以前は年間30万円ほどだった個人の買い物が、ここ数年で60万円前後に増えていたといいます。

 

ただし、由紀さんの買い物だけで貯蓄が300万円になったわけではありません。

 

娘の大学進学時には入学金などのまとまった出費があり、住宅の修繕や車の買い替えにもお金がかかっていました。教育費の負担が大きい時期に、妻の買い物も増えていたのです。

 

総務省統計局『家計調査報告〔家計収支編〕2025年平均結果』によると、二人以上の勤労者世帯の月平均実収入は65万3,901円、消費支出は34万6,297円でした。なお、実収入は税金や社会保険料を差し引く前の金額で、住宅ローンの元金返済は消費支出に含まれません。

 

浩一さんの年収780万円も、税金や社会保険料を差し引けば、手取りはそれより少なくなります。

 

夫婦で過去の支出を整理すると、ここ数年は賞与からまとまった額を貯蓄するつもりでも、学費や臨時の支払いに充てることが多かったと分かりました。

 

「貯金が増えないとは思っていたけど、買い物を少し控えればいいくらいに考えていたの」

 

由紀さんも年間の支出を改めて確認し、驚いた様子でした。

 

一方、浩一さんも反省することがありました。

 

「小遣いが少ないとは思っていたけど、妻が普段どれくらい使っているか聞いたこともなかった。任せきりにしていたのは自分ですから」

 

夫婦は話し合い、由紀さん個人の買い物についても月ごとの予算を設けることにしました。必要な衣服や化粧品まで一律に削るのではなく、購入する前に手持ちのものを確認し、大きな買い物は相談する方針です。

 

また、娘の卒業後に教育費が減った分は、まず貯蓄に回すことを目標にしました。

 

「退職金が入れば何とかなると思っていましたが、今の使い方を続けていたら、老後も同じことになるかもしれません」

 

浩一さんは、再雇用後の収入見込みと住宅ローンの返済計画も確認し始めています。

 

家計を一人に任せていると、日常の支出が積み重なっていても、夫婦で問題を共有する機会がないまま時間が過ぎてしまうことがあります。定年後の収入減少に備えるためにも、貯蓄額だけでなく、何にいくら使っているのかを定期的に確認し、夫婦で納得できる予算を決めておくことが大切です。

 

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