グーグル・アップルに次ぐ難しさの面接
トレーダー・ジョーズでレジ係の仕事をしていると、とある白人女性が会計を終えたあと私のほうに身を乗り出して尋ねた。
「ここの面接、どうでした? 難しくなかったですか?」。そして、少しためらう様子を見せてから言葉を続けた。「私、19回落ちたんです。合格の秘訣を教えてもらえませんか?」。
その後も似たような質問を4、5回は受けている。心の中で「トレーダー・ジョーズの面接は確かにちょっと手強かったな」と私は思った。トレーダー・ジョーズのアルバイトの面接は、勤務可能な時間や過去の経験有無だけをチェックする一般的なアルバイト面接とは大きく異なり、質問もやや難易度が高かった。だから、普通のアルバイト面接だと思って軽い気持ちで臨んだ人にとっては、かなり難しい面接になるのだろうと思う。グーグルやアップルの面接に次ぐと言っても決して過言ではない。
面接は、「メイト」と呼ばれる中間管理職のマネージャー2人と1次面接を行い、通過した人はストアマネージャーとの2次面接に進む。1次と2次はそれぞれ1時間程度だ。ちなみに、通常トレーダー・ジョーズの1店舗には130~150人ほどのクルーメンバーがいて、7~8人のメイト(マネージャー)が存在する。そして、トップにいるのは「キャプテン」と呼ばれるストアマネージャーだ。
メイトやストアマネージャーになるためには、必ずクルーメンバーの経験がなくてはいけない。私が働いているマウンテンビュー店のストアマネージャーは、クルーとして20年以上働いていた人物だ。
面接の雰囲気はカジュアルだが、質問内容は甘くなく…
私のトレーダー・ジョーズの面接時間は、日曜日の午後1時だった。少し早めに店舗に向かって、いつものようにトレーダー・ジョーズで買い物をした。野菜をいくつかと少し前から取り扱いが始まったハンドクリームを買った。
レジで私がカゴに入れたハンドクリームを見ると、レジ係が「あっ、これすごくいいんですよ。使ってみたら塗り心地がかなり良くって」と話しかけてきた。私も「そうそう、私もこのハンドクリーム好きなんです。これで買うのは3回目!」と言葉を返した。
会計を終えて「ブリッジルーム」と呼ばれるサービスカウンターに出向き、クルーの面接を受けに来たと告げると、メイトの1人が私を面接の場所まで連れて行った。店舗脇の駐車場の片隅にある涼しげな木陰だ。面接官は辺りにあった牛乳運搬用のプラスチックの箱を3つ持ってきて、そこに遠慮なく座ってくれと言った。
私とメイトが腰掛けると、別のメイトが遅くなって申し訳ないと言って駆け寄った。ついさっき私が買い物をしたときにレジ係をしていた、あの従業員だ。トレーダー・ジョーズではメイトもレジに立つことがあるので、偶然にも面接官が私の会計をしてくれたというわけだ。
かくして、1次の面接官であるマネージャー2人は私と向かい合って席に着いた。質問のリストが記された紙と私の履歴書を手に。肩ひじ張らない、本当にカジュアルな面接だと思った。かといって、面接の質問もカジュアルだと甘く見れば、それは大きな誤算になる。
