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大学4年でAIを使い始め、2ヵ月後には「学会発表」
OWL:大塚さんは、AIを使ってアプリ開発などをされているとのことですが、もともとプログラミングやAIを専門に学ばれていたのでしょうか?
大塚:私は中央大学経済学部出身で、理系ではありません。AIとの最初の接点となったのは、文系でも受講できるICTの授業でした。大学4年のときです。ちなみに、私が経済学部を選んだ理由は「お金持ちになりたいから」という理由でした。
教授から「提出課題はAIを使ってやってはいけない」と言われたことで「AIで課題をラクに片づけられる」と気づいてしまい、そこから火が付きました。「ChatGPTを使いつつもChatGPTを使ったとバレない方法」、いわば「宿題をサボる方法」を練り上げ、AIを使って課題を片づけたのが、AIとの出会いでした。
2ヵ月後には電子情報通信学会で発表の機会を得て、「ネットワークソフトウェア若手研究奨励賞」を受賞。実態は「宿題をサボる方法」でしたが、さすがにそのタイトルで発表するわけにはいかなかったので「ソフトウェア開発の効率化」として発表しました。
その後、2023年10月から翌年2月にかけて、AIを使ってアプリを100日連続で開発する「100日チャレンジ」というプロジェクトをやりました。これが、X上で結構バズり、自分の名前を売っていく契機になりました。
就職活動はせず、教授推薦で就職
OWL:大学4年ということは卒業間近ですが、就職はどうしたのですか?
大塚:同期が就職活動に励んでいた大学3年のころ、私は就職活動を全くせず、「せどり」ばかりしていました。電気器械などを中古品ショップで安く仕入れ、高く買い取ってくれる店に売る仕事です。
朝から晩まで働く生き方はどうしても想像できなかったんです。でも、そのICTの教授の推薦でソフトウェア開発企業に入社しました。エントリーシートも教授が書いてくれたので、私は面接会場に行っただけです。就活まで丸投げしていたわけですね。
新卒入社後、わずか5日で大手出版社と出版打ち合わせ
OWL:大塚さんにとってソフトウェア開発企業は最高の環境だったのでは?
大塚:入社してみたら退屈でした。だから、AIを使ってソフトウェア開発を始めた経験を出版しようと思い、出版社の日経BP社に連絡しました。最初の打ち合わせは、4月5日だったので、入社から1週間もたっていませんでした。
職場の最初の3ヵ月の研修は、動画を見て感想を書くだけで、とにかく暇でした。そんな中、5月下旬に日経BP社から出版決定の連絡を受けたことで「会社を辞めてもやっていけるかも」という感触を持ちました。
研修が終わったあとの仕事はほとんどリモートで、AIでさっと片づけて執筆に集中していました。当時は渋谷の道玄坂に住んでいたので、原稿を書いては飲みに行くような生活でした。急にコスプレをしたくなって、コスプレの撮影をしたこともありました。
書き上げたのは『#100日チャレンジ 毎日連続100本アプリを作ったら人生が変わった』という本で、2025年1月に発売されました。
OWL:会社勤めのサラリーマンなのに、ペンネームを使わず本名で出版されたのですか? ひょっとして副業OKの会社だったのでしょうか?
大塚:はい。本名で出版しました。学会発表や出版など、実績を全てストックとして積み重ねていきたかったのです。でも、出版と同時に、Yahoo!ニュースにも記事が流れたのを社内の人が見つけ、私は呼び出しを食らいました。
「うちの会社は副業禁止。会社を持っているなら、その会社を清算しなさい」と言われまして…。
私が「わかりました。辞めます」と言ったら、人事の担当者は「わかった、副業を止めるんだな」と勘違いしてしまって。「いえ、会社を辞めます」と言い直す羽目になりました。
人事の人の頭の中には「副業のために安定した仕事を手放す」という選択肢は存在しなかったのでしょうね。サラリーマン思考と起業家思考は、根本的に異なっているのだと思います。
AI時代の会社形態=「ソロプレナー」として会社経営へ
OWL:会社を辞めたあとはどのような活動を始めましたか?
大塚:自分の会社名義で仕事を始めたのですが、業務内容は主に、受託での開発・講演・執筆でした。
サラリーマンを辞めて7ヵ月ほど経った2025年9月に、「Shipaton」という開発者のハッカソンがあり、5万5,000人の応募者の中で3位になり、雑誌「Forbes」にも掲載されました。この頃から仕事が軌道に乗り、年収2,000万円に到達し、社歴20年以上の元上司たちの収入を超えました。
OWL:ご自身の会社は、従業員を雇って組織化していったのでしょうか?
大塚:いいえ。たいていの作業はAIでできるので、従業員を雇うことはしませんでした。株主兼社長が1人で経営する、いわゆる「ソロプレナー」の形態です。
正直、わざわざ人を雇う理由が思い浮かばないのです。AI時代には「都心にオフィスを構え、多くの従業員を雇う」という会社の形態も変わってくると思います。
AIを駆使するソロプレナー企業の経営者、日本に住む必然性は「皆無」
OWL:いま、大塚さんはタイ在住ですが、どういう経緯でタイへ行かれたのですか?
大塚:私の仕事は全部オンラインで完結するものなので、どこに住んでも問題ありませんでした。あと、渋谷に住むのに飽きてきたというのもありまして。AIに「毎日スパに行きたい、毎日プールで泳ぎたい。どこに住むべきか?」などと聞いたら、AIがいくつか、移住先の候補を挙げてきたのです。
スペイン領カナリア諸島、アルメニアのエレバン、ポーランド、マレーシアのクアラルンプール、ドバイ、そしてタイのバンコクでした。
時間はたっぷりあったので、全部行ってみました。カナリア諸島は家賃が高い割に建物がボロくてダメ。エレバンは住むイメージが湧かず、ポーランドは物価が東京並み。それにヨーロッパは1人での食事がしにくくて。マレーシアはビザ取得が大変。ドバイは中東情勢悪化の影響で飛行機が欠航…。消去法でタイになりましたが、結果、大正解でした。
タイの生活は「スパとプール」の毎日
大塚:タイではずっとホテル暮らしでしたが、お気に入りのエリアもでき、新築のタワマンを見つけたので、最近、そのタワマンに移りました。毎日800バーツ(約4,000円)くらいのオイルマッサージに行っていますし、毎日プールで泳いでいるので、日々充実しています。

OWL:タイは食事も美味しいですが、普段は自炊ですか? それとも外食?
大塚:私は東京に住んでいた頃から、まったく食事を作ったことがないので、タイに来てからも自炊をせず、外食かGrab(デリバリーサービス)で配達してもらっています。
渋谷に住んでいた当時は、自炊はおろか冷蔵庫すらなくて、コーヒーやお茶も毎回コンビニで買っていたくらいですから。
そういう点では、Grabが非常に安いタイは住みやすいです。
OWL:面白いのは、AIを使って「手を抜く方法」を考えることには、ものすごく手間をかけていますよね。一方で、料理・掃除・洗濯は一切しない、コーヒーやお茶も淹れない…。「頑張ること」と「頑張らないこと」の振り幅が、すごいです。
大塚:そうですね。「手を抜くための努力」だけは惜しまない、というのが私のスタイルです(笑)。こうしたAIに丸投げする仕事スタイルについては、『全部、AIに丸投げした。─気づいたら、24歳で海外ホテル暮らしの経営者になっていた─』という本に書きました。2026年10月に新潮社から発売されますので、ぜひ読んでほしいです。
(2026年9月9日インタビュー)
小峰 孝史
OWL Investments
マネージング・ディレクター・弁護士
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