若者の非正規雇用者が多く、失業率が高い理由
日本では新卒の一括採用が行われ、「将来性がある」と評価された学生を採用して企業で育てる慣行がありますが、欧州では新卒者も「即戦力」として経験豊富な先輩社員と競争することが求められます。このため、欧州の若者が最初の就労機会を得るには、就職前に「エンプロイアビリティ(雇用される能力)」を身につける必要があります。
この点でドイツは例外で、2026年4月の25歳未満の失業率は7.2%と他の国よりもはるかに低い水準にとどまっています。この背景には、中世以来のギルドの流れをくむ「デュアルシステム」と呼ばれる制度があります。中等教育を終えた若者の約40~50%はこの制度を選択し、週の数日は職業学校で理論を学びながら、残りの日は企業で実習を行うことで在学中から実務経験を積み、卒業と同時に国家資格を得て即戦力として就職することが可能になります。
しかし、フランス、イタリア、スペインなどでは、大学教育と職業教育が分断されており、実務経験を積む機会が限られるため、新卒者が経験不足を理由に就職を拒まれる傾向が強いと指摘されています。そうした若者は非正規の職に就かざるを得ず、フランスでは15~24歳の就業者のうち有期契約(CDD)や派遣(Interim)、見習い(Apprentissage)などの割合が恒常的に50%を超えています。
若年層の高失業はEUにとっても重要な政策課題となっています。2012年には欧州債務危機によってスペインやギリシャの若年失業率が50%を超えました。
2014年にEUは15~24歳が卒業後または失業後4か月以内に、(1)良質な雇用、(2)学業の継続、(3)インターンシップ、(4)徒弟訓練のいずれかの機会を得られるよう支援する枠組みの「ユース・ギャランティー(Youth Guarantee)」を導入しました。
さらに、コロナ禍によって若年層の失業率が大幅に上昇したことを受け、2020年にEUは対象年齢を15~29歳に拡大し(強化されたユース・ギャランティー)、大学卒業から数年経っても安定した職を得られない世代にも対処しています。EUによれば、2013年の勧告採択(2014年実施)以降に約5,700万人がこの制度を利用しています。
しかし、こうした取り組みにもかかわらず、フランスや南欧諸国では依然として若年失業率が高水準にとどまっています。
