日米よりも失業率が高いユーロ圏
●ユーロ圏の労働市場には解雇規制と雇用主の社会保険料負担という問題
●若年層の高失業の背景にも構造問題
●移民の増加は極右政党の台頭を招いている
ユーロ圏の失業率は2026年4月に6.3%と通貨統合後の最低水準近くで推移していますが、同月の米国(4.3%)や日本(2.5%)を大きく上回っています。特に25歳未満の失業率は14.7%と全体の2倍以上に達しており、スペイン(23.7%)、イタリア(16.9%)、フランス(21.4%)などの国では若年層の高失業が問題となっています。
欧州の企業が採用に慎重な理由として、厳格な解雇規制と雇用主の社会保険料負担の重さが指摘できます。
フランスでは、従業員を解雇する際には「経済的理由」を明確に示す必要があり、労働審判所(Conseil de prud’hommes)が不当解雇と認定した場合には復職命令や補償金の支払いが命じられます。イタリアやスペインでも、不当解雇をめぐる裁判では労働者に有利な判決が出る傾向があります。ドイツの解雇規制はそこまで厳しくはありませんが、10人以上の事業所では社会的に弱い立場の人を保護する「社会的選択(Sozialauswahl)」が義務付けられています。
さらに、欧州諸国では企業の社会保険料負担が重いという問題があります。日本や米国では社会保険料は労使が折半ですが、欧州では被用者よりも雇用主の負担が重くなっています。経済協力開発機構(OECD)の2024年のデータによると、社会保険料の雇用主負担が労働コストに占める割合はフランスが25.7%、イタリアが24.0%、スペインが23.4%に達します。ドイツは16.8%とそれよりも低いですが、日本の13.6%や米国の7.5%を大きく上回ります。
こうした制度は労働者を手厚く守る一方、新規採用のリスクを高め、企業が若者や未経験者を雇いにくくする副作用をもたらしています。ユーロ圏の高い失業率の背景には、「雇用を守る仕組みが強すぎて新しい雇用が生まれにくい」という問題があるのです。


