二地域居住の広がりで変わる「もう一つの家」の選び方
都市部に住みながら、週末は地方で過ごす。仕事の拠点を都市部に置いたまま、自然の多い地域にも生活の場を持つ。こうした「二地域居住」は、以前から存在した暮らし方です。ただ、近年は国もその普及を後押ししています。
国土交通省が2022年に実施した『二地域居住に関するアンケート』によると、主な生活拠点とは別に滞在する地域がある人は、18歳以上人口の6.7%、約701万人と推計されました。さらに、現在は二地域居住等をしていない人の27.9%が、条件次第では二地域居住等を行いたいとする「関心層」に該当しています。
もっとも、この数字をそのまま「セカンドハウスの購入需要」と捉えることはできません。調査における二地域居住等には、ホテルなどへの滞在も含まれるためです。それでも、暮らしの拠点を一つに限定せず、複数の地域と関わりながら生活するスタイルに一定の関心が集まっていることは分かります。
こうした暮らし方を住宅という形で実現するのが、セカンドハウスという選択肢です。総務省の2023年『住宅・土地統計調査』では、別荘や、たまに寝泊まりする住宅などを含む「二次的住宅」は約38万戸。二つ目の住まいがあれば、仕事や家族の事情に合わせて生活拠点を使い分けられます。子どもが独立した後に滞在日数を増やしたり、将来的に働き方が変わった際に利用方法を変えたりすることもできるでしょう。
一方で、自宅とは異なり、セカンドハウスは「生活に欠かせない住宅」ではありません。利用する目的や頻度が変われば、所有する意味そのものが変わる可能性があります。だからこそ、購入時には「そこで何をしたいか」だけでなく、長く所有することを前提に、地域や物件を選ぶ必要があります。
「人気の場所」ではなく、地域にどんな需要があるかを見る
セカンドハウスを選ぶとき、海が見える、自然が豊か、温泉が近いといった環境面は大きな魅力になります。
しかし、住宅を長期的に保有するなら、それだけでは判断できません。見るべきなのは、その地域にどのような人が訪れ、どのような人が暮らし、どのような用途で住宅が必要とされているのかという点です。
たとえば、観光客が多い地域でも、住宅需要が限られている場合があります。一方、観光に加えて、地元住民の居住需要や事業者の需要、交通・商業などの生活基盤が存在する地域であれば、住宅の利用方法にも幅が生まれます。
全国の住宅事情を見ると、住宅が将来も使われ続けるとは限りません。前出の『住宅・土地統計調査』によると、全国の空き家は900万2,000戸、空き家率は13.8%となり、いずれも過去最高でした。
空き家の増加には、人口や世帯数の変化、住宅の立地、相続など、さまざまな要因があります。セカンドハウスだけの問題ではありません。しかし、住宅を所有する側から見れば、「その地域で住宅を必要とする人がいるのか」は、購入前に確認しておきたいポイントです。
その動きを考えるうえで興味深いのが、長野県白馬村です。国土交通省が2026年9月に公表した『令和8年都道府県地価調査』によると、白馬村では2026年の住宅地の地価上昇率が31.3%、商業地が35.6%となりました。商業地は全国1位、住宅地は全国2位の上昇率です。
国土交通省は、外国人観光客の増加を背景にホテルや複合施設の開発が進んでいることに加え、住宅地では国内外からの別荘・コンドミニアム需要が強まっていることなどを要因として挙げています。
白馬村の事例から分かるのは、リゾート地としての魅力だけでなく、観光、宿泊、住宅など複数の需要が重なることで、地域の不動産市場が動く場合があるということです。もちろん、白馬村の地価上昇が今後の資産価値を保証するわけではありません。地域によって人口動態も産業構造も異なります。
そのため、セカンドハウスを選ぶ際には、現在の人気だけを見るのではなく、人口、交通、商業施設、医療機関、観光など、その地域にどのような需要が存在しているのかを確認することが重要になります。
国土交通省の『不動産情報ライブラリ』では、地価公示や都道府県地価調査、不動産取引価格のほか、都市計画や周辺施設、防災情報なども確認できます。購入候補地を調べる際には、こうした公的データを組み合わせて地域の特徴を見ることが重要です。


