すでに契約を結んでしまったら?クーリング・オフや法律による解決の道筋
では、契約書を詳しく見ずに、業者の説明を信じてすでにサブリース契約を結んでしまった場合、すべてAさんの自己責任なのでしょうか。
まず、訪問販売等の形態によって勧誘を受けた場合、AさんとB社とのあいだの契約をクーリング・オフできる可能性があります。クーリング・オフする場合には、法律で決まった書面が渡されていること、クーリング・オフの適用期間内であることを確認しましょう。
また、まれにB社から「事業(営業)目的での契約に、クーリング・オフ制度は使えませんよ」といってくる場合があります。確かに、B社の指摘はあながち的外れともいえません。特定商取引法では、「営業のためにもしくは営業として」契約した場合は、クーリング・オフの適用外と規定されているからです。
しかし、「営業のためにもしくは営業として」という言葉の意味も、これまでの裁判所の判断によってそれなりの積み重ねがあります。たとえば、Aさんが個人事業主であるから一律にNGといった簡単な話ではありません。問題となる契約の内容や目的、事業経験、取引への習熟度など、具体的な事情を踏まえ、Aさんが本当に「営業のために」契約したのかどうかを総合的に判断されます。
初めてアパート建築を勧誘された場合などには、「営業のための契約だから使えない」という業者の説明をそのまま受け入れず、適用の余地を検討することが重要です。
さらに、B社の説明義務違反が認められた事案も報告されています。東京地方裁判所が平成28年10月14日に判断した判決です(判例時報2359号55頁所収)。現在は、賃貸住宅管理業法によって、一括借上げを行う業者(C社)だけでなく、その業者が勧誘を行わせる者(B社)についても、誇大広告や不当な勧誘が禁止されています。また、一括借上げを行う業者(C社)には、サブリース契約を結ぶ前の重要事項説明が義務付けられています。場合によっては、この法律が参考になる場合もあるでしょう。
なお、建築請負契約、サブリース契約、銀行との融資契約は、関連していても、それぞれ「別の契約」です。業者の説明に問題があっても、銀行への返済義務が自動的になくなるわけではありません。
契約締結前に少しでも疑問が生じたら、立ち止まることが重要です。また、たとえ契約締結後であっても、そのままにせずに、周囲に相談することで、被害を回収できる場合もあります。もしそのようなことに気付いたら、すぐに行動することが大事だといえるでしょう。
加藤 慶二
弁護士
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