金融政策の動向と中長期的な成長ポテンシャル
こうした経済環境を踏まえ、UOBはフィリピン中央銀行(BSP)がこれ以上の利上げを停止し、少なくとも2027年第3四半期まで政策金利を据え置く可能性が高いと分析しています。
BSPは8月に政策金利を0.25%ポイント引き上げて5%とし、累計0.75%ポイントの利上げを実施済みです。インフレ圧力やペソ安、米連邦準備制度理事会(FRB)の動向など外部要因次第でスタンスが変わる可能性はあるものの、当面は「様子見」の長期化を基本路線と捉えています。
両機関の見通しを総合すると、2026年後半に公共投資が加速し、消費が回復すれば、成長率は3.8%前後まで持ち直す余地があると言えます。一方で、外部環境や国内執行力の不確実性を踏まえ、着実な構造改革の実行が求められる局面です。
ADBは2027年の成長率を5.3%と予測し、中期的には改革推進により回復軌道を維持すると見込んでいます。外国企業の投資拡大や規制環境の改善、民間資本市場の活性化が鍵であり、オフショア風力発電をはじめとする再生可能エネルギーや金融サービス分野への関心も高まっています。
フィリピンの長期的な経済成長性についても、明るい展望が開けています。豊富な若年人口、旺盛な国内需要、海外労働者からの送金やサービス輸出に支えられた構造的な強みに加え、インフラ整備の継続や外資規制の緩和、デジタル経済の進展が持続的な成長を後押しします。
ADBが指摘するように、予測可能性と信頼性の高い投資環境の整備、腐敗防止や透明性の向上が進めば、中長期的に年率5%前後の成長を取り戻し、アジアの中で存在感を高めていく可能性は十分にあります。短期的な調整局面を乗り越え、政策の着実な実行を通じて、フィリピン経済が本来の潜在力を発揮することが期待されます。
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