「そういえば、最近会ってないね」半年後に気づいた変化
それから半年ほどたったころ、典子さんはスマートフォンのメッセージ履歴を見返していました。
長女との最後のやり取りは、2ヵ月ほど前。「元気?」と送った典子さんに、恵さんが「元気だよ。また落ち着いたら行くね」と返したところで止まっていました。
以前なら、孫の誕生日や季節のイベントが近づくたびに、「今度の日曜日に行ってもいい?」「みんなでご飯食べようか」と予定を決めていました。
しかし、孫たちが高校生、大学生になるにつれ、休日はアルバイトや友人との予定などで埋まるようになりました。長女夫婦だけで典子さんの家を訪れることもほとんどありませんでした。
「お祝いをやめた途端、来なくなったのかな」
そんな考えが浮かび、典子さんは少し寂しくなったといいます。ただ、しばらくして恵さんから電話がかかってきました。
話の途中で典子さんが「最近、みんなに全然会ってないね」と言うと、恵さんは「本当だね。上の子はバイトで、下の子も部活があるから、4人そろう日がほとんどないんだよ」と答えました。
典子さんが「私がお祝いをやめたから、来づらくなったのかと思ってた」と話すと、恵さんは驚いたそうです。
「そんなこと考えてたの? お祝いとは関係ないよ。私も、みんなで行ける日にって思っているうちに、連絡しなくなっちゃってた」
典子さん自身も振り返れば、長女一家からの連絡を待つことが増え、自分から「今度いつ来る?」と聞くことは少なくなっていました。
その週末、長女夫婦だけが久しぶりに典子さんの家を訪れました。3人で近所の店へ昼食を食べに行き、会計はそれぞれ自分の分を支払いました。
「前は娘たちが来るとなると、何を食べさせよう、お小遣いはいくらにしようって考えていました。でも、何も用意しなくても会えば普通です」
それ以降も、孫を含めた家族全員が頻繁に集まる生活に戻ったわけではありません。孫たちにはそれぞれの予定があり、典子さんにも自分の生活があります。
誕生日には今もメッセージを送りますが、毎回現金を渡すことはやめました。その代わり、会える日があれば一緒に食事をしたり、ときどき孫から大学生活の写真が送られてきたりするようになったそうです。
家族との付き合い方は、子どもや孫の成長、自分自身の年齢や家計によって変わっていきます。これまで続けてきた金銭的な援助を見直すことと、家族との関係を遠ざけることは同じではありません。一方で、以前はお祝いや行事が連絡を取るきっかけになっていた場合、それがなくなったあとには、意識して連絡を取らなければ交流が減っていくこともあります。
無理をして以前と同じ付き合い方を続けるのではなく、その時々の生活に合った形へ変えていくことも、長く家族との関係を続けるうえでは必要なのかもしれません。
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