(※写真はイメージです/PIXTA)

孫が生まれ、娘や息子から頼られることをうれしく感じる祖父母もいるでしょう。保育園の送迎や留守番、食事の準備など、できる範囲で力になりたいと思う一方、年齢を重ねれば移動そのものが負担になることもあります。一度定着した家族の役割を、どこで見直すかは難しい問題です。

「会いたくないわけじゃない」娘に初めて断った日

「ごめん。これからは、用事のたびにそっちへ行くのは難しいかもしれない」

 

和子さんがそう伝えると、裕美さんはしばらく黙っていました。

 

「体調悪いの?」

 

「そうじゃないけど、往復4時間かけて行って、子どもたちを見て、また帰ってくるのが前より疲れるようになったの」

 

娘を責めたいわけではありませんでした。

 

そもそも、頼まれるたびに「大丈夫」と答えてきたのは和子さん自身です。裕美さんも、母親がそこまで負担に感じているとは知らなかったといいます。

 

「だったら、もっと早く言ってくれればよかったのに」

 

そう言われ、和子さんも「私も孫に会いたかったからね」と答えました。

 

話し合った結果、娘夫婦が仕事や用事のたびに和子さんを呼ぶことはやめました。

 

急な仕事のときは夫婦で予定を調整し、難しければ地域の一時預かりなども利用することにしました。和子さんが娘宅へ行くのは、基本的に自分が行きたいとき。娘一家が和子さん宅を訪ねる機会も増やすことにしました。

 

最初の週末、娘から頼まれごとのない土曜日を迎えた和子さんは、近所の友人と昼食へ出かけました。

 

午後、自宅へ戻ると裕美さんからビデオ通話がありました。画面に映った孫から、「ばぁば、今度はいつ来るの?」と聞かれます。

 

以前なら、その場で来週や再来週の予定を確認していたでしょう。

 

「夏休みの終わりごろかな。今度はみんなで遊ぼうね」

 

そう答えると、孫はあっさり「分かった」と笑いました。

 

家族を支えることと、自分自身の暮らしを大切にすることは、どちらか一方を選ぶ話ではありません。

 

和子さんも、これから孫の成長を見守りたいという気持ちは変わっていません。ただ、「頼まれたら行く」ことを当たり前にせず、無理のない頻度で会う。その距離に変えたことで、孫と過ごす時間を再び楽しみに待てるようになったといいます。

 

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