「何もしなくていい」が、思ったよりつらかった退職後
「退職したら、毎朝ゆっくりできることを楽しみにしていました」
そう振り返るのは、誠さん(仮名・67歳)です。現在は市営団地の2DKで一人暮らし。年金は月約18万円、預貯金は約1,300万円あります。
誠さんは長く会社員として働き、65歳で退職しました。妻とは50代で離婚し、2人の子どももすでに独立しています。
現役時代の朝は早く、午前6時前には起床。簡単に朝食を済ませ、満員電車に乗って会社へ向かう毎日でした。
退職直前には「これからは時間に追われなくていい」と楽しみにしていました。
ところがいざ仕事を辞めると、決まった時間に起きる必要がなくなり、生活のリズムが少しずつ崩れていきました。
目覚まし時計をかけず、午前9時を過ぎても布団の中にいる。テレビをつけ、昼になれば適当に食事を済ませる。午後は近所のスーパーへ行く程度で、一日が終わります。
最初の数ヵ月は、友人とゴルフへ行ったり、平日に映画を見たりしていました。それでも毎日予定があるわけではありません。
以前住んでいたのは、会社員時代に借りていた民間の2LDKです。家賃は月約8万円。退職後も払い続けるには負担が大きいと感じ、住み替えを考えました。
そこで申し込んだのが、市営住宅でした。
公営住宅は、公営住宅法に基づき、住宅に困窮する低額所得者に低廉な家賃で供給される住宅です。入居には所得などの要件があり、単身者が申し込める条件や募集方法は自治体によって異なります。
誠さんも市役所で条件を確認し、単身高齢者として申し込める住宅を探しました。家賃は収入に応じて決まり、誠さんの場合は共益費を含めても月4万円台です。
誠さんが変えたのは、住まいだけではありませんでした。
