「有責配偶者」からの離婚請求は、原則認められない
Oさんが夫に対して離婚調停を起こしたところ、Oさんの夫が立てた弁護士から「Oさんは不倫をした『有責配偶者』であり、離婚請求は認められない」と主張されてしまいました。
法律上、不倫などの行為を行った「有責配偶者」からの離婚請求は、原則として認められません。例外的に離婚が認められるには、「未成熟子がいないこと」「相当期間の別居があること」「特段の事情があること」といった一定の要件を満たす必要があります。
Mさんは「自分が慰謝料を支払って解決したのだから大丈夫だろう」と素人考えで思い込み、Oさんを励まし続けていました。Oさん自身も「不倫の証拠はないはずだ」と反論しましたが、その不倫事実は、なんとMさんと夫とのあいだで交わされた合意書によってあっけなく立証されてしまったのです。
さらに調停の場でOさんは、裁判所から「子ども(未成熟子)がいるにもかかわらず、夫に面会させない姿勢は間違っている」と注意を受けます。離婚が認められないうえ、子どもの面会交渉でも不利な立場に立たされ、調停を進める意味そのものが失われてしまいました。
苦労して経営してきたクリニックの崩壊
Mさんの言葉を信じて突き進んできたOさんは、一転して絶望。不倫に対し、反省するどころか、怒りの矛先をMさんへ向けはじめました。
「もともと離婚できないのなら、不倫なんてしなかった」とMさんを非難。そして「自分だけが離婚できないのは納得がいかない。(Mさんが)妻と離婚する気がないのなら、家族にこのことを知らせる」とMさんの妻の連絡先を要求してきました。
Mさんに自身が妻と離婚する気は毛頭ありません。MさんがOさんの要求を断ると、Oさんは看護師同士のネットワークを駆使して、Mさんの妻へ接触します。
Mさんは、Oさんの弁護士費用を自分が払ったのに文句ばかりをいわれることに納得できません。予想外の泥沼化に困惑したMさんは、自身の弁護士に対して「話が違うのではないか」と詰問しました。しかし、責任を転嫁するような態度に呆れた弁護士は、そのまま辞任してしまいます。
一連のいざこざはあっという間に周囲へ噂として広まりました。呆れたほかの看護師やスタッフは次々と辞めていき、クリニックにはMさんとOさんの2人だけが取り残される事態となります。
かつては順調だったクリニックも、いまや患者の前でさえ2人の喧嘩が絶えない場所として有名になってしまいました。無責任な言葉と浅はかな法的判断が、Mさんの家庭だけでなく、苦心して築き上げた医療機関の経営までも破壊してしまったのです。
※プライバシーに配慮し、実際の相談内容から変更している部分があります。
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