「喜んでくれていると思っていた」息子から聞かされた本音
その週末、健太さんが一人で実家を訪ねてきました。そこで修一さんは、「俺の金なんだから、好きに使わせてくれればいいじゃないか」と不満を口にしました。
すると健太さんは、金額が増えてきたことを気にしていたと話しました。
「10万円もらったら、こっちも簡単に『ありがとう』だけじゃ済ませにくいんだよ。それに父さんは年金で暮らしてるんだから、自分のために残しておいてほしい」
さらに、孫自身も最近は高額なお祝いを受け取ることに戸惑っていたといいます。
高校入学時に20万円をもらったばかりなのに、数ヵ月後の誕生日にさらに10万円。「こんなにもらっていいの?」と母に聞いていたそうです。
修一さんはそこで初めて、毎年金額を増やすことが、そのまま孫の喜びにつながっているわけではなかったと知りました。
一方、健太さん夫婦にも反省がありました。
これまで断れば修一さんを傷つけると思い、毎回受け取ってきました。その結果、修一さんには「この金額で問題ない」と伝わっていたのです。
話し合った結果、翌年からは孫本人に欲しいものを聞き、一緒に食事へ行ったり、数千円から1万円程度のプレゼントを贈ったりすることにしました。
なお、孫へのお祝いを含め、まとまった金銭を渡す場合には贈与税についても確認が必要です。暦年課税では、その年の1月1日から12月31日までに一人が受けた贈与財産の合計額が基礎控除の110万円を超える場合、原則として贈与税の申告が必要になります。贈与者一人ごとに110万円ではなく、受け取った人を基準に計算する点にも注意が必要です。
もちろん、今回のような10万円の誕生日祝いだけで直ちに贈与税の申告が必要になるわけではありません。ただし、祖父母や両親など複数の人からまとまった金銭を受け取る場合には、その年に受け取った贈与全体を確認する必要があります。
子や孫にお金を使うことは、渡す側にとっても楽しみになり得ます。しかし、長く続けるほど「去年より少なくするのはかわいそう」と考え、金額が膨らんでいくこともあるでしょう。
大切なのは、金額の大きさだけで気持ちを示そうとしないことです。受け取る側がどう感じているのか、自分自身が無理なく続けられるのか。節目ごとに家族で話しておくことで、お祝いを双方にとって気持ちのよいものにしやすくなります。
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