「私に何があっても、妹には財産を渡したくありません」総資産1億1,000万円・子のいない64歳夫が、妹を相続人にさせないために実行した〈奥の手〉【弁護士が解説】

「私に何があっても、妹には財産を渡したくありません」総資産1億1,000万円・子のいない64歳夫が、妹を相続人にさせないために実行した〈奥の手〉【弁護士が解説】
※画像はイメージです/PIXTA

相続トラブルを防ぎ、自分が希望する相手に財産を残すための方法として、遺言書の作成は有効な手段です。しかし、遺言で財産の受取人を決めれば、それだけで十分とは限りません。場合によっては、財産を残したい相手が先に亡くなる可能性や、甥や姪が相続人となる可能性まで考えておくとよいケースもあります。今回は、子のいない夫婦の事例をもとに、将来の相続問題を防ぐための遺言作成のポイントを弁護士の原田大士氏が解説します。※登場人物や設定などは、プライバシーの観点から一部脚色を加えて記事化しています。

【子のいない夫婦の相談】妹とは父の遺産をめぐり疎遠に

正夫さん(仮名・64歳)は、妻の恵美さん(仮名・66歳)とともに法律事務所を訪れました。夫妻には子がおらず、正夫さんの両親もすでに他界しています。

 

正夫さんには、妹の幸子さん(仮名・60歳)と、すでに他界してしまった兄の隆さんがいます。隆さんには一人息子の健太さん(仮名・39歳)がいますが、幸子さんには子どもがいません。

 

正夫さんと幸子さんの関係は、数年前に父親が亡くなったときの相続をきっかけに、決定的に悪化していました。

 

父親の生前、幸子さんは父親の世話や財産管理をしていました。相続開始後に父親の預金からまとまった金額が引き出されていたことが判明し、正夫さんが説明を求めたところ、幸子さんは「父の生活のために使ったお金だ」と反発。遺産分割協議は険悪なムードで行われ、それから兄妹はほとんど連絡を取らなくなっていました。

 

自分が死んだとき、妹と妻で遺産分割の話をする事態は避けたい

そんな経験もあって、正夫さんには、自分の相続について強い希望がありました。

 

「自分が死んだときに、父の相続であれだけ揉めた妹と、妻が遺産分割の話をしなければならない事態は避けたいんです」

 

もし何も対策をしないまま正夫さんが亡くなった場合、子どももおらず両親も他界しているため、妻の恵美さんだけでなく、妹の幸子さんも相続人となってしまいます。また、亡くなった兄・隆さんの息子である健太さんも「代襲相続人」として相続人になります。

 

法定相続分は、妻の恵美さんが4分の3、妹の幸子さんと甥の健太さんがそれぞれ8分の1です。

 

そのような相続が生じないように、正夫さんは「自宅不動産:約6,000万円、預貯金:約4,000万円、株式や投資信託:約1,000万円――合計約1億1,000万円の財産を、長年連れ添ってきた妻に残すかたちにしたい。そして自分が亡くなったあとに、妻を妹との遺産分割協議に巻き込みたくない」と話します。

 

さらに、正夫さんは次のようにも言いました。

 

「私に何かあっても、妹には財産を渡したくありません」

 

次ページ「妻に全財産を相続させる」という遺言を作成する

登場人物や設定などは、プライバシーの観点から一部脚色を加えて記事化しています。

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録
会員向けセミナーの一覧