「私に何があっても、妹には財産を渡したくありません」総資産1億1,000万円・子のいない64歳夫が、妹を相続人にさせないために実行した〈奥の手〉【弁護士が解説】

「私に何があっても、妹には財産を渡したくありません」総資産1億1,000万円・子のいない64歳夫が、妹を相続人にさせないために実行した〈奥の手〉【弁護士が解説】
※画像はイメージです/PIXTA

相続トラブルを防ぎ、自分が希望する相手に財産を残すための方法として、遺言書の作成は有効な手段です。しかし、遺言で財産の受取人を決めれば、それだけで十分とは限りません。場合によっては、財産を残したい相手が先に亡くなる可能性や、甥や姪が相続人となる可能性まで考えておくとよいケースもあります。今回は、子のいない夫婦の事例をもとに、将来の相続問題を防ぐための遺言作成のポイントを弁護士の原田大士氏が解説します。※登場人物や設定などは、プライバシーの観点から一部脚色を加えて記事化しています。

妻が先に亡くなった場合は甥へ――「予備的遺言」という備え

では、恵美さんが先に亡くなっていた場合、正夫さんは誰に財産を残したいのでしょうか。弁護士が改めて希望を確認すると、正夫さんの頭に浮かんだのは、亡くなった兄・隆さんの一人息子である健太さんでした。

 

「兄が亡くなってからも健太とは付き合いが続いています。妻に残せないのであれば、健太に残してやりたいですね」

 

そこで、正夫さんの遺言には、全財産を恵美さんに相続させることに加えて、恵美さんが正夫さんより先に亡くなっていた場合には、全財産を健太さんに取得してもらうという内容を盛り込むことにしました

 

このように、遺言で財産を取得する予定の人が先に亡くなった場合に備えて、次に財産を取得する人まで指定しておく遺言を、一般に「予備的遺言」と呼びます。

 

正夫さんは弁護士と遺言の内容を検討したうえで、公証役場で公正証書遺言を作成しました。今回のようなケースでは、公証人が関与するため方式上の不備が生じにくく、原本も保管されるといった点から、公正証書遺言による方法がおすすめです。

 

正夫さんも、一安心という表情で公証役場を後にしました。

 

財産を相続させたい相手が先に亡くなったケースまで考える

遺言は相続で自身の希望を実現させる重要な方法です。特に、兄弟姉妹には遺留分が存在しないことから、遺言の内容が兄弟姉妹への相続内容を決めるポイントになることがあります。

 

また、相続人の家族関係が複雑な場合には、財産を相続させたい相手が先に亡くなった場合、次点として誰に残したいのかまでを考えておいたほうがいいこともあります。将来的な紛争の可能性なども考慮に入れて、弁護士などの専門家に相談し、ご自身の希望をより確実に実現できる遺言を作成しておくと安心です。

 

 

原田大士

横浜パートナー法律事務所

弁護士

登場人物や設定などは、プライバシーの観点から一部脚色を加えて記事化しています。

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