(※写真はイメージです/PIXTA)

共働きの子ども夫婦を助けようと、孫の送迎や食事を引き受ける祖父母もいます。最初は喜んで始めたことでも、回数が増えれば、体力や時間、家計への負担は変わっていきます。「孫はかわいい」という気持ちと、「今日は休みたい」という気持ちは、決して矛盾するものではありません。

「今日は無理」が言えず…祖母の本音

孫たちが帰ったのは午後9時近くでした。食器を片づけ、テーブルを拭いてソファに座ると、どっと疲れが出ました。

 

その日だけが特別に大変だったわけではありません。

 

食事を作るには買い物が必要です。孫が2人来れば肉や魚の量も増え、果物やお菓子も用意します。食費を娘から受け取ることもありましたが、毎回細かく精算していたわけではありません。

 

内閣府『令和6年度 高齢者の経済生活に関する調査』では、60歳以上の25.2%が、同居・別居を問わず子や孫の生活費の全部または一部を負担していると回答しています。

 

京子さんの場合、年金月18万円で生活できており、すぐに家計が苦しくなるほどの負担ではありませんでした。それより気になっていたのは、自分の予定を入れにくくなったことです。

 

裕子さんから頼まれる日は直前まで分からないこともあります。「もしかしたら孫を預かるかもしれない」と思うと、夕方以降の約束をためらうようになっていました。

 

数日後、裕子さんから「金曜日なんだけど、またお願いしてもいい?」と聞かれたとき、京子さんは初めて断りました。

 

「金曜日は友達と出かけるから無理だよ」

 

「分かった。じゃあこっちで何とかするね」

 

返ってきたのは、それだけでした。京子さんは拍子抜けしたといいます。

 

「断ったら娘が困る、孫たちも困るって、自分で大ごとにしていたところもあったんでしょうね」

 

後日、裕子さんにも「最近ちょっと預かる回数が多くて疲れることがある」と話しました。裕子さんは、母がいつも引き受けてくれるため、そこまで負担になっているとは気づいていなかったといいます。

 

それからは、急な残業のたびに京子さんへ頼るのではなく、夫婦で仕事を調整し、学童の利用時間なども改めて確認するようになりました。京子さんに頼む場合も、できるだけ早めに予定を聞くようにしています。

 

孫が来なくなったわけではありません。

 

今でも月に何度か一緒に夕食を食べます。むしろ回数が減ったことで、「今度来るなら何を作ろう」と考える気持ちが戻ってきたといいます。

 

内閣府の同調査では、60歳以上が今後優先的にお金を使いたいものとして、「子や孫のための支出」を挙げた人が25.8%いる一方、「趣味やレジャー(旅行等)の費用」は32.4%、「友人等との交際費」は20.2%でした。高齢期の生活には、家族を支える時間だけでなく、自分自身の楽しみや人付き合いもあります。

 

孫の世話を引き受けること自体に問題があるわけではありません。ただ、一度始めたからといって、同じ頻度でずっと続けられるとは限りません。体力も生活も変わるなかで、「今日はできる」「今日は難しい」とその都度伝えられる関係にしておくことが、孫との時間を長く楽しむためにも大切なのかもしれません。

 

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