日本経済のインフレ基調は、まだまだ当分続く
このように、「資産インフレ」はあっても物価の上昇を伴うインフレはなく、物価のデフレが続いていたことによって、国民生活の肌感覚は1991年の年初から2022年の年初までの31年間にわたって、デフレの状態が続きました。これをもって、「失われた30年」とよく言われていました。
しかしながら、物価や国民の肌感覚に大きく先んじるようにして、2012年11月からは資産インフレは起こっていたのです。ですから、2003年5月から2007年7月の4年余りの期間の「プチ・インフレ」は規模が小さかったので度外視すると、資産価格の意味では、「失われた」のは30年ではなく、1991年1月から2012年10月までの約22年です。
そして、このようにまとめてみますと、次のようなことが浮き彫りになります。図表をご覧下さい。
・戦後からは40年もインフレ時代が続きました
・資産価格は、一定の周期でインフレとデフレを繰り返してきました
・2003年5月から2007年7月までの「プチ・インフレ」を度外視すると、資産価格も22年近くはデフレが続きました
・物価のデフレは31年続きました
・物価のインフレの持続期間は40年で、デフレの持続期間は31年です。日本における31年のデフレ期は、世界経済史上、まれに見る長さです
・それに対して、インフレは、とても長く続く経済事象であり、このことは世界共通です
・日本においては、物価のインフレを伴う本格的なインフレは、始まってからまだ4年余りしか経っていません
この先、十年単位で「インフレは続く」と考えられる
このようなことから、現在進行中の物価のインフレは、まだこの先も十年単位(decade単位)で続くのではないかと考えられるのです。
また、諸外国に目を転じれば、デフレというものは例外的なものです。1980年代の日本や2010年代の中国は、過度な資産バブルを起こしたため、その後に長いデフレを経験することになりましたが、それはあくまでも例外なのです。
企業活動は、適正な利潤を追求しながら、企業自体を成長させていくものですから、経済というものは基本的には成長する、すなわち、インフレ基調になるのが普通なのです。
以上のことから、日本経済におけるインフレ基調は、まだまだ当分続くと考えています。
榊原 正幸
元・大学教授/会計学博士/税理士
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