「借金=悪」という日本人の固定観念による弊害
さて、家計用の貸借対照表を理解することで、少なくとも次の2つの大きなメリットが得られます。
・買い物のうちの多くは「資産の種類の変更でしかない」ということがわかる
・安全な借金の比率を知ることができる
日本人は「借金は悪だ」と考えがちですが、借金そのものは悪ではありません。「借金には悪い借金もあるが、良い借金もある。そういうことを知らずに、闇雲に『借金は悪だ』と考えてしまうことが悪なのだ」ということです。
なお、本記事では、「お金をつかう」というのを「使う」ではなく、「つかう」と表記します。「使う」というのは英語では‘use’または‘utilize(英:utilise)’ですが、「お金をつかう」というのは、‘use’ではなく、‘spend(費やす)’だからです。
ですから、「お金をつかう」というのを漢字で表記するなら、「使う」よりは「遣う」の方が、ニュアンスが近いのですが、「遣う」もなんだかピンとこないので、一貫して、ひらがなで「つかう」と表記します。ただの、私のこだわりです。
3億円の家を買っても「お金をつかった」ことにはならない
3億円の家を買っても「お金をつかっていない」と言えます。それは、なぜか? 家を買うことは、「資産の種類の変更でしかないから」です。
家を買うということは(全額現金で購入する場合を除けば)、頭金という「現金」と住宅ローンで借りた「資金(現金)」で家(「土地」と「建物」)を買うわけですが、これは、「現金」という『資産』が、「土地」と「建物」という『資産』に姿を変えただけなのです。
その証拠に、家を売れば、また現金が戻ってきますよね。手数料や値崩れ分で、戻ってくる金額はいくらか減るでしょうけど、希少価値の高い立地に立つ家であれば、買った時よりも高く売れることだってあります。
家を売った時にいくらの現金が戻ってくるのかという金額的なことは千差万別ですが、家(「土地」と「建物」)という『資産』は、「現金(と借りた資金)」という『資産』が姿を変えたに過ぎないというのは、否定しがたい真実ですよね。
このようなわけで(金額が大きかろうが小さかろうが)、買い物のうちの多くは「資産の種類の変更でしかない」のです。このことを知ることは、人生において革命的な変化をもたらします。
1億3000万円の借金も「お金をつかった気が全然しない」
私は最近、1億4000万円くらいの土地を名古屋の一等地に買い、1億6000万円くらいかけて一戸建ての建物を新築で建てました。そのために1億3000万円の借金をしました。そうすると、みんなはこう言うのです。
「すごくたくさんのお金をつかいましたね! 借金の額もすごいし!」、と。
でも私は自信を持って、こう答えることができます。
「お金はほとんどつかっていません。いや、お金を別の種類の資産に替えただけなので、お金をつかった気が全然しないのです。そして、このくらいの借金は、した方がいいですし」、と。

