家を買っても、純資産額は変わらない
これについて貸借対照表を使って説明します。ここからは、普通の言葉を会計学上の言葉(これを「勘定科目」と言います)で書きます。貸借対照表上では、「勘定科目」で表記するからです。ただ、「勘定科目」と言っても、普通の日本語です。全然、専門用語ではありませんのでご安心を。
たとえば、お金は、勘定科目では「現金」と言います。土地は「土地」で、一戸建ての居宅は「建物」です。そして、借金は「借入金」です。(普通の日本語でしょ!?)
私は、この「家と、そのための借金」以外にも、いくらかの資産と負債を持っていますが、それらは割愛して、ここでは、この「家と、そのための借金」だけについて取り扱っていきます。私がこの家を買う前と買った後の貸借対照表(B/S)は図表のとおりです。
最初が上の図の状態です。「現金」という資産1億7000万円があり、借金はありません。次に、1億3000万円の借入金を興して、「現金」という資産を3億円にして、それを「土地」と「建物」という資産に替えました。それが、下の図です。
同じことをもう少しだけわかりやすく言えば、自己資金の「現金」1億7000万円だけでは金額が足りないので、借入金を興して1億3000万円の「現金」を用意して、「現金」の額を合計で3億円にしました。そして、1億6000万円の「建物」という資産と1億4000万円の「土地」という資産に替えただけで、純資産の金額は同じですね。
ここで、上図の「純資産」の額と下図の「純資産」の額をご覧ください。この土地と建物を取得する前も後も、私の貸借対照表上の「純資産」である1億7000万円は変わっていません。自分の財産の価値は、手元にある「現金」の額ではなくて、「純資産」の額です。「純資産」の額が減っていない限り、自分の財産は減っていないのです。
これこそが、私が「お金はほとんどつかっていません。いや、お金を別の種類の資産に替えただけなので、お金をつかった気が全然しないのです」と答えた真意です。
お金(「現金」)が手もとから出ていっても、それが有意義な別の「資産」へと「資産の種類が変わっただけ」であれば、それは本質的には「お金をつかったこと」にはならないのです。なぜならば、この「建物」と「土地」という資産は、売ればお金に戻るからです
(先にも書いたように、正確には、売ると、買い値よりはいくらか安くなってしまうかもしれませんが、うまくいくと高く売れるかもしれませんね。ですから、ここでは、「売り値はいくらなのか」は度外視して、「売れば、いくらかのお金に戻る」ということに留めます)。


