(※写真はイメージです/PIXTA)

孫がかわいくて、つい財布のひもが緩んでしまう。そんな祖父母は少なくないでしょう。ただ、子ども世帯への仕送りや孫へのプレゼントが習慣になると、受け取る側との金銭感覚にズレが生じることもあります。善意から始めた援助でも、相手が望んでいるとは限りません。

「ありがたかった。でも…」娘が抱えていた思い

その日を境に、美咲さんからの連絡は目に見えて減りました。以前は週に何度も届いていた孫の写真も来なくなり、恵子さんが電話をしても、「今忙しいから」と短時間で終わるようになりました。

 

「プレゼント一つで、どうしてここまで怒るのか分かりませんでした。仕送りだって、ずっと喜んでくれていると思っていました」

 

数週間後、恵子さんは娘と改めて話す機会を設けました。そこで美咲さんから聞かされたのは、お金そのものへの不満ではありませんでした。

 

「ありがたかったよ。でも、断るとお母さんが傷つくと思って断れなかった。最近は何か決めるたびに、『お母さんにも説明しなきゃ』って思うようになっていた」

 

さらに、恵子さん自身の家計についても心配していたといいます。

 

月7万円の仕送りなら、年間84万円。5年間続ければ単純計算で420万円になります。これとは別に、誕生日やクリスマス、入学祝い、旅行代なども恵子さんが負担していました。

 

内閣府『令和7年版高齢社会白書』では、60歳以上の人に現在の経済的な暮らし向きを尋ねたところ、「心配なく暮らしている」と回答した割合は7割弱でした。一方で、すべての高齢者世帯に十分な余裕があるわけではなく、高齢期には限られた収入や資産を長期間にわたって管理していく必要があります。

 

「娘に言われて初めて、毎月7万円をあと何年続けるつもりだったんだろう、と考えました」

 

話し合いの結果、恵子さんは毎月の仕送りをやめました。孫への高額なプレゼントも、事前に娘夫婦へ相談することに決めました。

 

すぐに以前の親子関係へ戻ったわけではありません。それでも数ヵ月後には、美咲さんから再び孫の写真が送られてくるようになり、現在は数ヵ月に一度、一緒に食事をしています。

 

「お金を渡すことが娘を助けることだと思い込んでいました。でも、娘には娘の家庭があって、私が決めていいことではなかったんですよね」

 

仕送りや孫へのプレゼントは、家族を思う気持ちから始まるものです。ただ、金額が大きくなったり長期間続いたりすれば、渡す側と受け取る側で意味合いが変わることがあります。恵子さん親子の場合、仕送りをやめ、必要なときには事前に相談するというルールを決めたことが、関係を立て直すきっかけになりました。

 

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