(※写真はイメージです/PIXTA)

現役時代は仕事に追われ、家のことは配偶者に任せきりだったという人もいるでしょう。しかし、定年退職によって在宅時間が増えれば、それまでの家事分担がそのままでいいとは限りません。仕事から離れたことをきっかけに、料理や洗濯、掃除などを一から覚える人もいます。

失敗続きの「家事修行」、3ヵ月後の変化

最初の1ヵ月、浩一さんの家事は失敗続きでした。

 

洗濯物を干せばシャツがしわになり、スーパーへ行けば頼まれていない特売品を大量に購入。カレーを作った日は、使った鍋や包丁をシンクに積んだままにして、由美子さんから注意されました。

 

「料理を作ったら終わりだと思っていました。でも妻から『片づけまでが料理』と言われて」

 

そんな浩一さんにも、徐々に変化が出てきました。

 

毎週月曜と木曜は掃除機をかける。火曜は浴室の掃除。夕食後の食器洗いは原則として自分。スーパーへ行く前には冷蔵庫を確認し、必要なものをスマートフォンにメモするようになりました。

 

3ヵ月ほど経つころには、味噌汁や炒め物、煮物程度なら一人で作れるようになったといいます。

 

「最初は妻の家事を『手伝う』という感覚だったんです。でも、『手伝うって何? あなたもこの家に住んでいるでしょう』と言われました。それが一番効きました」

 

由美子さんも、夫の変化を感じています。

 

「私が出かける日に夕飯の心配をしなくてよくなりました。前は帰宅時間を逆算して買い物していましたが、今は『今日は俺が作るよ』と言ってくれます」

 

浩一さんは現在、週に2日は図書館やスポーツジムへ出かけ、残りの日は家事をしながら過ごしています。半年後には知人から紹介された仕事を週2日ほど始める予定です。

 

「退職したら毎日が休日になると思っていました。でも実際には、家にもやることがたくさんありました。今まで妻がやっていたことを、自分が知らなかっただけなんですよね」

 

家事を覚えたことで由美子さんの負担が減っただけでなく、浩一さん自身も、退職後の毎日の過ごし方が少しずつ定まってきたといいます。夫婦にとって定年は、仕事を終える節目であると同時に、それまでの家庭内の役割を見直すきっかけにもなりました。

 

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