「中国なら10倍売れますね」とはやす日本の老舗化粧品メーカー…在日中国人ネットワークに群がる、美容ビジネス「暗黙の抜け道」

「中国なら10倍売れますね」とはやす日本の老舗化粧品メーカー…在日中国人ネットワークに群がる、美容ビジネス「暗黙の抜け道」

ドラッグストアの店頭には並ばず、派手な広告も打たない。一見すると静かな日本の老舗ブランドが、中国本土で驚異的な売り上げを叩き出している。その背景にあるのが、在日中国人コミュニティによる「知られざるSNS商圏」の存在だ。本記事では、中島恵氏の著書『中国人は日本で何をしているのか』(日経BP)より、日本の老舗化粧品メーカーで働く中国人・王さん(仮名)のインタビューから、怪しくも力強い“SNS草の根越境EC”のリアルをみていく。

日本の会社の商品だが…売る人・買う人、どちらも中国人

説明会のあと、再び王さんに話を聞いた。同社では売り上げに応じて、下からエステティシャン、ビューティーコンサルタント、その上がグループリーダーという名称になってランクが上がっていく。

 

グループリーダーの月間の売上高は約80万円で、さらに上のマネジャークラスになると、500万円になる。3カ月に1回評価があり、売上高によってランクが上がっていく仕組みだ。上がれば上がった分だけインセンティブがある。

 

販売方法は、たとえば商品を600円で仕入れて、定価の1000円で販売する人が多いが、王さんの場合、定価1000円の商品を仕入値の600円で販売している。そこでは利益は出ないが、1カ月分の売上げの10%がバックされる仕組みなので損はしない。王さんは自分の判断で顧客に安く提供しているのだ。

 

会社全体の売上げのうち、どの程度が中国人の販売によるものかは不明だが、「日本の会社ですけど、いまでは中国人の存在がとても大きくなっていると思います。相当売上げに貢献しているはず」と話す。

 

現在、化粧品を売る人、買う人のどちらも中国人というケースが激増している。しかも、王さんやその友人の対象顧客のほとんどは日本国外、つまり中国に住む中国人だ。

 

王さんは来日して10年以上が経ち、日本でも友人が増えたが、現在も中国にはさらに多くの友人がいるので、現地向けに販売するほうが自然だし、やりやすいという。

 

そんな王さんをサポートしているのは中国に住む両親だ。父親は趣味の集まりに行く際、娘が扱う商品をさりげなく友人に紹介している。「王さんの娘さんの商売なら安心だ」「日本のナットウキナーゼや青汁を飲んで健康になりたい」と健康食品をよく購入してくれる。

 

家族のサポートもあって、王さんはぐんぐん販売ランクを上げている。

 

 

中島 恵

ジャーナリスト

 

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※本連載は、中島 恵氏の著書『中国人は日本で何をしているのか』(日経BP)より一部を抜粋・再編集したものです。

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