「リモート頻度が減った」が35%超。データが示す“出社回帰”
パーソル総合研究所が実施した「第十回テレワークに関する調査」によると、2025年7月のテレワーク実施率は22.5%と一定の水準を保っているものの、「以前に比べてリモートワークの頻度が減った」と回答した人が35.8%にのぼりました。これは「頻度が増えた」という回答を大きく上回る数字です。
在宅勤務が定着したように見える裏側で、企業による「出社回帰」の波は確実に広がっています。社内コミュニケーションの停滞や若手育成の難しさ、そして生産性の低下などを理由に、社員をオフィスへと呼び戻す動きが強まっているのです。
実は家を買う際、木村さん夫婦は「もし何かあっても、最悪売って都心に戻ればいいよね」という話をしていたといいます。しかし、いざその「まさか」が起きると、現実はそう甘くありませんでした。
たとえば、人間関係の問題。子どもをせっかく馴染んだ保育園や近所の友達と引き離すことへの躊躇のほか、りかさん自身、子育ての悩みを共有してきたママ友と離れることに葛藤があります。「都心は保育園になかなか入れないという、根本的な問題もありますしね」とも。
そして、大きいのが資産価値の問題。全国的に不動産価格が上がっているといっても、夫婦が家を買ったのは郊外エリア。購入価格より値を下げなければ売却は難しい状況です。さらに、郊外の広い家に合わせた家具やインテリアは、都心の狭いマンションに入りきりません。
「転職も考えましたが、30代後半でいまの年収を維持したまま『完全フルリモート』の求人を探すのは至難の業です。どの道を選んでも、年収ダウンか、住環境の悪化か、家族の負担増という『何かを諦める選択』にしかなりません(和樹さん)」
働き方の「前提」が変わるリスクをどう生き抜くか
現在、木村さんは会社と相談のうえ、特例として週2日出社・週3日在宅という“折衷案”で仕事をしています。しかし、これもいつまで続けさせてもらえるか、綱渡りの日々だといいます。
「住宅ローンという35年の長い契約に対して、会社の『働き方ルール』はあっけなく変わってしまう。家を買うとき、働き方の変化というリスクを本気でシミュレーションしていなかったことが、痛恨の極みです(和樹さん)」
庭で嬉しそうに走る子どもの姿を見つめながら、木村さんはそう零します。リモートワークという「甘い夢」の上に建てたマイホーム。働き方のハシゴを外された家族の模索は、今も続いています。
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