母「遺産は長男に3,600万、次男に200万」次男「意味わかんねぇ…!」母と15年同居して介護した65歳長男、母の遺言で次男と遺産調停へ<調停の長期化で経済的ダメージ>【司法書士が助言】

母「遺産は長男に3,600万、次男に200万」次男「意味わかんねぇ…!」母と15年同居して介護した65歳長男、母の遺言で次男と遺産調停へ<調停の長期化で経済的ダメージ>【司法書士が助言】
(※写真はイメージです/PIXTA)

遺産相続は遺言書があれば揉めないというわけではありません。たしかに遺言書は相続トラブルを防ぐための有効な手段ですが、遺言書があるからこそ起きるトラブルがあります。特に多いのが、親と同居して介護を担ってきた兄弟が遺言によって遺産の大半を取得したときに、ほかの兄弟が強く反発するケースです。「なぜ兄(弟)だけがすべてを手に入れるのか」「遺言を書いたのは本当に本人の意思か」。相続の現場では、こうした声が飛び交うことがあります。では、遺言者が遺言を書いた時期に認知症が始まっていた場合、その時期に書いた遺言は有効になるのでしょうか。相続に強い司法書士の佐伯知哉氏が解説します。

 

遺言書が「無効」になるケースもある

遺言が無効になるケースは実際にあります。遺言者に判断能力がなかった場合や、詐欺や脅迫によって書かされた場合、あるいは法律で定められた形式を満たしていない場合などです。

 

ただし、ただし、今回の遺言は公正証書遺言でした。公正証書遺言は、公証人が本人と面談したうえで作成する公的な書類です。作成時に本人の意思と理解力を公証人が確認しているため、あとから無効を主張するには高いハードルがあります。

 

優二さんが「母は遺言作成時に認知症の症状があった」と主張しても、遺言作成時の診断記録や公証人の記録から、その時点では一定の判断能力があったと判断されれば、遺言が無効であるという主張は認められません。

 

優二さんは弁護士に相談しながら証拠を集めようとしましたが、遺言作成から母の死まで2年が経過しており、当時の状態を客観的に立証することは容易ではありませんでした。

 

遺産を多く受け取る側も、精神的なダメージを受ける

ここまで、次男である優二さんの主張を中心に見てきましたが、こうした対立のなかでは、長男である幸一さん側にも相当なダメージがあります。

 

幸一さんは「これは母が自分で決めたことだ」「15年間、妻と二人で支えてきたことを母は分かっていた」と主張しました。母の意思を守りたいという思いは本物でしたが、弁護士費用の負担や調停の長期化、そして弟との関係が決定的に壊れ、精神的にも経済的にも消耗していきました。

 

遺留分をめぐる交渉が話し合いでまとまらない場合は、家庭裁判所の調停へ移行します。しかし、多くの場合は調停でも折り合いがつかず、最終的に審判による解決を待つことになります。こうした手続きは1年以上かかることも珍しくなく、その間、兄弟の溝はますます深まっていきます。

 

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本記事は、司法書士法人さえき事務所代表の佐伯知哉氏が解説します。

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