他国に比べ、永住権取得の条件が緩いポルトガル
前回の連載は、多くの方から反響を頂きました。私の予想では、「黄金居住許可」、つまり永住権や国籍の取得に対して、一般の方の関心はあまり高くないと予測していましたが、一定数の方々からご質問をいただき、潜在的な需要はあると気付きました。今回から、ポルトガルでの居住権・永住権取得の方法と、そのメリットなどについて3回に分けてご紹介します。
ポルトガルへの移住、永住は難しいのか、結論から申し上げますと、「投資移民」プログラムを設定していることで有名な、アメリカやカナダ、オーストラリア、ニュージーランドに比べても、必要金額、申請者の条件、審査期間ともに敷居は低いです。
【図表】主な投資移民プロジェクト
アメリカの有名なEB-5プログラムでグリーンカードを取得するには、50万ドル以上の投資と、アメリカ人あるいはグリーンカード保持者の雇用を10人以上創出することが必要です。申請から2年間限定の「条件付グリーンカード」を取得するまで、日本人では2年ほどの期間が必要となります(それぞれの国民の比率を一定に保つため、申請者の多い中国人などは順番待ちとなり、さらにプラス数年かかります)。そこから無期限のグリーンカードを申請し、取得するには雇用の維持などの条件があります。
さらに、最低投資額を増額するという法案や、移民の受け入れに積極的とは言いがたい政権の発足などもあり、今後さらに難しくなる可能性もあります(そのため、現時点ですでに投資をお考えの方は、迅速に行動されることをお勧めいたします)。
また、オーストラリアでは、投資移民ビザは3種類あり、それぞれ英語力を証明する試験の結果の提出や、過去の事業での成功歴が求められ、最低投資価格も一番低いもので150万オーストラリアドル(約1億3,000万円)です。
景気回復を目指して創設されたプログラム
その他の国でも、投資資金の出所に関する調査や、移住先の国に一年のうち半分以上居住するなどの条件が設けられたりしています。もちろん、これらの国々には、それに値する魅力があるからこそ、申請者が常にいらっしゃることに違いはないのですが、「投資額が高すぎて・・・」「これほど期間をかけたくない」「その他の条件(語学力、職歴など)を満たすのが厳しい」「日本で仕事を続けないと今後の生活をどうすればいいのか?」という方も多数いらっしゃるのが事実です。
そこで選択肢の一つとしてお勧めできるのが、ポルトガルの「黄金居住ビザ」プログラムです。元来は、経済危機からの回復がなかなか達成できず、経済状態が悪かった2012年に、外国人からの投資を誘致することを目的として創設されたプログラムです。その後、何度か法改正が行われるなど、内容の変更はありましたが、海外移住希望者の多い中国人やロシア人、母国語が共通であるブラジル人を中心に、多くの申請があります。
前回、説明したように、さまざまな要因が重なって2015年、2016年と、ポルトガルの経済および不動産市場は顕著に回復し、今後数年も好調な状態が続くことが予想されています。そのためこの「黄金居住ビザ」プログラムは、「居住権が取得でき、かつ不動産投資によって利益を得られる期待も高いプログラム」であるということが言えます。