孫はかわいい。でも、老後を差し出す義務はない
内閣府『令和7年版高齢社会白書』では、高齢期の社会参加や人とのつながりは生きがいや安心につながる一方、健康状態に応じた無理のない活動が重要であることが示されています。祖父母による子育て支援も、本人の健康や生活を損なうほど続けば、長く続けることは難しくなります。
ある日、誠治さんは長女夫婦を呼び、正直に話しました。
「孫はかわいい。でも、毎週のように預かるのはもう体力的に厳しい」
話し合いの結果、送迎は週1回まで、週末の預かりは月1回を目安にすることになりました。急な発熱時には病児保育やファミリー・サポート・センターの利用も検討し、祖父母だけに頼らない体制を整えることにしました。
最初の数週間、長女は戸惑っていました。しかし、夫婦に余裕が戻ると、孫と会う時間の空気も変わりました。疲れ果てて迎えるのではなく、楽しみに待てるようになったのです。
「距離を置いたことで、やっと孫をかわいいと思う余裕が戻りました」
美智代さんはそう話します。
老後の資金に余裕があっても、時間と体力には限りがあります。助け合いは大切ですが、祖父母を当然の支援先として扱えば、関係はいつか苦しくなるでしょう。幸せな老後を守るためには、孫との関係にも一定の線引きが必要なのかもしれません。
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