世界一の富豪なのに…イーロン・マスクが「ブラジルからの資産凍結制裁」にわずか数週間で降伏したワケ

世界一の富豪なのに…イーロン・マスクが「ブラジルからの資産凍結制裁」にわずか数週間で降伏したワケ
(※写真はイメージです/PIXTA)

2025年、米政府は中国発のショート動画アプリTikTokに対し、強制売却を命じた。日本でも、自民党総裁選や今年の衆院選における「中傷動画問題」が取り沙汰されている。いまやSNSのアルゴリズムは国家を動かす存在となり、その影響力が大きな問題になっている。本稿では、白畑真氏の著書『デジタルインフラの地政学 インターネット データセンター AI 急所を握るのは誰か』(日経BP)より、世界各地で相次ぐ「国家 vs. ビッグテック」の衝突と、その行方を追う。

「国家 vs. ビッグテック」の結論

そして2024年、市場と国家を切り離せるという前提は、さらに揺らいだ。

 

Telegram(テレグラム)の創業者パベル・ドゥロフがパリの空港で身柄を拘束された。容疑はプラットフォーム上の犯罪への加担と捜査への非協力だ。Telegramの通常のチャットは、運営側が内容を復号できるクライアント・サーバー型の暗号化で、同社は法執行機関への非協力を貫いてきた。だが、その非協力という運営方針も、経営者の身柄拘束という物理的な強制力の前には維持できない。

 

プラットフォームの秘匿性が運営判断に依存するとき、国家は経営者という一点を押さえれば足りる。

 

時を同じくしてブラジルでは、イーロン・マスク率いる米X(エックス)が最高裁判所のアカウント停止命令を拒否した結果、サービスへのアクセスを遮断され、関連会社Starlink(スターリンク)の資産まで凍結された。世界一の富豪でさえ資産凍結から数週間で命令に従った。

 

ビッグテックといえども、国家から独立した超越者ではあり得ない。権威主義国家の圏内では企業は党の監視装置の一部となり、民主主義国家の圏内では安全保障のパートナーとなり、それに反抗する者は法と物理的な力によって制圧される。

 

 

白畑 真

さくらインターネット株式会社

 

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※本連載は、白畑 真氏の著書『デジタルインフラの地政学 インターネット データセンター AI 急所を握るのは誰か』(日経BP)より一部を抜粋・再編集したものです。

デジタルインフラの地政学 インターネット データセンター AI 急所を握るのは誰か

デジタルインフラの地政学 インターネット データセンター AI 急所を握るのは誰か

白畑 真

日経BP

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