「年金で何とかやっている」…娘が信じていた父の暮らし
真理子さん(仮名・50歳)は、74歳の父・修三さん(仮名)と離れて暮らしていました。母は8年前に亡くなり、修三さんは古い戸建てで一人暮らしを続けています。
年金は月18万円ほど。持ち家のため家賃はかからず、真理子さんは「派手な生活をしなければ十分暮らせるはず」と思っていました。
実際、修三さんは電話でも弱音を吐きませんでした。「ちゃんと食べている」「病院にも行っている」「お金は足りている」と繰り返します。真理子さんが「何かあれば言ってね」と伝えても、父はいつも「お前にはお前の生活がある」と笑っていました。
真理子さんにも高校生の子どもがおり、住宅ローンも残っています。父の言葉に甘え、細かな家計までは確認していませんでした。
ところがある日、修三さんが軽い脱水症状で入院します。大事には至りませんでしたが、退院後の手続きや支払いを手伝うため、真理子さんは実家で通帳を確認することになりました。そこで目にした数字に、思わず手が止まります。
「何かの間違いでは……」
年金が振り込まれているにもかかわらず、残高は数万円しかありません。さらに引き落としの履歴を見ると、医療費、介護保険料、固定資産税、カード返済、通信販売の支払いが並んでいました。
少額ずつに見えても、毎月積み重なれば大きな負担です。真理子さんが驚いたのは、父がぜいたくをしていた形跡がなかったことでした。
総務省『家計調査(2025年)』によると、65歳以上の単身無職世帯では、可処分所得約11.8万円に対し、消費支出は約14.8万円となっており、平均で毎月約3.0万円の不足が生じています。修三さんの年金月18万円は平均より多いように見えますが、古い家の修繕費や医療費、税金、保険料まで含めると、余裕はありません。
さらに真理子さんが調べると、数年前に屋根の補修や給湯器交換が重なり、修三さんがカードローンで費用を補っていたことも分かりました。利息も含めた返済は年金生活に重く、家計を圧迫していました。
