投資家保護に配慮した“優遇構造”…「個人向け国債」のポートフォリオにおける役割【プロの視点】

投資家保護に配慮した“優遇構造”…「個人向け国債」のポートフォリオにおける役割【プロの視点】
(※写真はイメージです/PIXTA)

金利上昇局面の今、元本保証の安全資産として「個人向け国債」への関心が再び高まっている。しかし、実際には購入している人はまだ多くないのが現状だ。そこで本稿では、マレックス証券株式会社代表取締役・久保智氏が、「国債」の位置づけとその活用法について解説する。

ゼロ金利の「見向きもされない商品」が一変…政策金利引き上げで変わった“潮目”

日銀のゼロ金利・マイナス金利政策が続いた時期、変動10年の適用利率は最低保証の年0.05%に張り付き、固定型も計算値がマイナスになる局面すらあった。わずか0.05%のために数年と資金をロックするメリットはなく、固定型はほぼ見向きもされなかった。

 

一方、変動10年は「いつか金利が上がるかもしれない」という期待から低金利でのロックを避ける心理で安定的に売れていた。

 

潮目が変わったのは2022年以降だ。世界的なインフレを背景に各国中銀が利上げに踏み切り、日銀も2024年に政策金利の引き上げに踏み切った。2025年度の個人向け国債発行額は6兆1,526億円と19年ぶりの高水準となった。

30〜50代の購入が約7割…直近のトレンドは「固定5年」

楽天証券の購入データ(2022年度、2022年4月~2023年3月)によれば、購入者の約75%を30~50代が占める。また、平均買付金額は約190万円である一方、5万円以下の購入者が半数を超えており、少額から利用する投資家も多い。オンライン証券の普及も相まって、個人向け国債は幅広い投資家層に浸透しつつあることがうかがえる。

 

商品別では、2023年度は変動10年が74.7%と圧倒的だったが、2025年度には固定5年が49.1%と逆転し、直近(2026年4~6月)には54.4%と過半数に達した。

 

固定5年が最も売れている理由は複合的だ。足元の利回りが1.86%と最も高いこと、10年という長い満期への心理的抵抗感から5年のほうが選ばれやすいこと、そして「半年ごとに利率が変わる」変動10年の仕組みの複雑さに比べ、固定5年の「1.86%が5年間固定」というシンプルさが意思決定を容易にしていることが挙げられる。

 

ただし今後、10年金利が5年金利を大幅に上回る局面では、変動10年が有利になることもあり得る。どちらが最適かは金利の水準と形状、自身の資金計画次第だ。

 

 

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