(※写真はイメージです/PIXTA)

老後は便利な都心のマンションで、買い物や通院に困らず暮らしたい。そう考えて、戸建てからマンションへ住み替える高齢者がいます。なかでも駅近のタワーマンションは、資産価値や防犯面、眺望のよさから魅力的に映ります。しかし、管理費や修繕積立金、日々の生活動線、将来の売却や住み替えまで含めて考えなければ、思わぬ負担に直面することがあります。

「便利な場所なら安心」…戸建てを売って選んだタワマン暮らし

幸男さん(仮名・76歳)と妻の明子さん(仮名・73歳)は、長年暮らした郊外の戸建てを売却し、駅前のタワーマンションへ住み替えました。夫婦の年金収入は月28万円ほど。住宅ローンはすでに完済しており、戸建ての売却資金もあったため、当初は老後の住まいに大きな不安はありませんでした。

 

住み替えを考えたきっかけは、明子さんの膝の不調でした。郊外の家は庭の手入れや階段の上り下りが負担になり、最寄り駅や病院へ行くにも車が必要でした。幸男さんは運転を続けていましたが、70代後半になり、「いつまで車に頼れるだろう」と考えるようになります。

 

「駅の近くなら、車がなくても暮らせる。病院もスーパーも近いし、子どもにも心配をかけずに済むと思ったんです」

 

そう話す幸男さんに、明子さんも賛成しました。購入したのは、築10年ほどの高層階の部屋です。エントランスはホテルのように整えられ、コンシェルジュもいる。眺望もよく、娘夫婦が遊びに来たときには「すごいね」と喜んでくれました。

 

入居直後は、夫婦とも「いい選択をした」と感じていました。駅直結の商業施設で買い物ができ、雨の日でも外に出ずに用事を済ませられます。戸建て時代のように庭木の剪定や外壁の修繕を自分たちで考える必要もありませんでした。

 

総務省『家計調査(2025年)』によると、65歳以上の夫婦のみ無職世帯では、可処分所得約22.2万円に対し、消費支出は約26.4万円となっており、平均で毎月約4.2万円の不足が生じています。幸男さん夫婦は年金月28万円と平均より余裕があるように見えましたが、タワーマンションでは管理費、修繕積立金、駐車場代、固定資産税など、住み続けるための固定費が重くのしかかります。

 

入居から数年後、管理組合から修繕積立金の増額案が示されました。築年数が進み、大規模修繕に向けた資金計画を見直す必要があるという説明でした。さらに、共用設備の維持費や電気代の上昇もあり、毎月の住居関連費は当初の想定を超えていきます。

 

「ローンがないから大丈夫だと思っていました。でも、住むだけで毎月こんなに出ていくとは、正直甘く見ていました」

 

幸男さんは通帳を見ながら、初めて不安を口にしました。

 

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