(※写真はイメージです/PIXTA)

定年まで働くことが一般的だった時代から、近年は早期退職やFIREを選ぶ人も注目されています。まとまった資産を築き、会社に縛られない生活を目指す考え方です。ただし、退職時期が早いほど、その後の生活資金を自ら準備しなければならない期間は長くなります。自由を得る一方で、生活費や社会とのつながりをどう保つかが課題になります。

5年後に見えた、早期退職の自由と不安

退職から5年が経ち、隆さんは60歳になりました。資産は退職時より減っていますが、想定の範囲内に収まっています。生活費を抑え、旅行も年に数回に絞ったことで、家計は大きく崩れていません。

 

一方で、会社を辞めたことで新たな発見もありました。それは、仕事には収入を得るだけでなく、人との交流や社会の中での役割を実感する側面もあったということです。退職直後は一人の時間が心地よかったものの、数年たつと、誰かに必要とされる場面が減ったことに物足りなさを覚えるようになりました。

 

そこで隆さんは、地域のボランティア活動に参加し、週に数回だけ知人の事業を手伝うようになりました。収入はわずかですが、生活リズムができ、人と話す機会も増えました。

 

「お金のためだけではなく、社会とつながるために少し働くのも悪くないと思うようになりました」

 

早期退職は、誰にとっても正解であるとは限りません。総資産8,000万円があっても、住まい、家族構成、健康状態、支出の大きさによって安心度は変わります。医療費や介護費が必要になれば、計画は大きく変わる可能性もあります。

 

それでも隆さんは、後悔していません。

 

「会社に残っていたら、もっとお金は増えたかもしれません。でも、今の5年間を失っていたと思うと、やっぱり辞めてよかった」

 

FIREで大切なのは、資産額だけではありません。何にお金を使い、どんな時間を大切にしたいのか。退職後の孤独や不安とどう向き合うのか。そこまで考えて初めて、早期退職は現実的な選択になります。

 

隆さんにとって55歳での退職は、残りの人生を、自分の体力と時間に合わせて組み直すための選択だったのです。

 

 

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