「おめでとうございます!」年商20億円の46歳社長、35歳社員と再婚…直後に発表された“憶測を呼ぶ”超スピード人事、執行役員になった妻の昇進祝いで放たれた〈痛烈なひと言〉

「おめでとうございます!」年商20億円の46歳社長、35歳社員と再婚…直後に発表された“憶測を呼ぶ”超スピード人事、執行役員になった妻の昇進祝いで放たれた〈痛烈なひと言〉
(※写真はイメージです/PIXTA)

恋愛や結婚、あるいは個人的な好き嫌いといった「感情」を、組織から完全に排除することは不可能です。だからこそ、中小企業において組織を守るためには、トップの主観や一時の感情が入ったとしても、正常に稼働し続ける「人事の仕組み」が不可欠になります。本記事では、村上社長(仮名/46歳)のケースをもとに、中小企業の人事評価で押さえるべきポイントを、資産形成・経営アドバイザーの萩原峻大氏が解説します。※本記事で紹介する事例は、実際にあった出来事を基にしていますが、個別事案が特定されないようプライバシーに配慮し、登場人物や具体的な状況に一部変更を加えて再構成したものです。

バツイチ社長と社内婚、祝福ムードだったが…

「奈々さん、本当に社長と結婚するんですか?」

 

昼休みのオフィス、経営企画室の高橋奈々さん(仮名/35歳)が照れながら頷きます。相手は、この年商20億円企業を束ねる村上健太郎社長(仮名/46歳)。数年前に離婚し、仕事一筋だった村上社長の再婚は社内でも大きな話題になりました。

 

「おめでとうございます!」「ドラマみたいですね」

 

拍手と祝福の声が広がります。奈々さんはもともと仕事熱心で評判もよかったため、社員たちも好意的に受け止めていました。

 

しかし……。結婚から数ヵ月後、社内の雰囲気に変化が現れます。会議で奈々さんが意見をいうたびに、社長が前のめりで褒めるようになったのです。

 

「やっぱり視点がいいな」「それ、採用しよう」

 

会議後の給湯室で若手社員が「奈々さん、最近発言が通りやすくなってない?」「まあ、社長の奥さんだしね」と呟きます。この違和感が会社を壊すことになるとは、このときはまだ誰も気づいていませんでした。

なんで彼女だけ…突然の「飛び級人事」にザワつく社内

結婚から半年後、次のような社内メールが流れました。

 

役員人事のお知らせ

(中略)

執行役員 高橋 奈々(経営企画室長)

 

「え、執行役員?」「早くない?」オフィスがザワつきます。

 

奈々さんに実績がないわけではありません。仕事熱心で能力が高いことは誰もが認めています。しかし、「社長の奥さんじゃなかったら、これほどのスピードで昇進できたんだろうか?」というのが社員たちの本音です。

 

給湯室で女性社員たちは次のように零しました。

 

「私も仕事より婚活頑張ればよかった〜」「ほんとそれ」「いまさら遅いけどね」

 

すると、そこへ中島由美部長(仮名/42歳)が入ってきました。彼女は創業メンバーとして、古くから会社を支えてきた人物です。社員が少ないころから現場を回し、赤字の時期も乗り越え、役員候補と噂されていました。女性社員たちはあわてて口を閉じます。

 

「はは、気を使わなくていいよ」と中島さんは苦笑しましたが、その笑顔が逆に痛々しく見えます。

 

誰も表立っては口にしませんが、やがて社内には少しずつ、「奈々さんだけ特別扱いされている」といういびつな空気が漂いはじめました。

 

 

次ページ「社長と結婚すると出世できるんですね」

※本連載は萩原峻大氏による書き下ろしです。

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