「任天堂」と「東京エレクトロン」、決算書が似ている2社を瞬時に見分ける方法…一流ビジネスパーソンなら一発でわかる、決定的な違い【ビジネススクール教授が解説】

「任天堂」と「東京エレクトロン」、決算書が似ている2社を瞬時に見分ける方法…一流ビジネスパーソンなら一発でわかる、決定的な違い【ビジネススクール教授が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

経営者や企業幹部、投資家など、多くのビジネスパーソンにとって「財務分析」は有用なスキルだ。しかし実際には、とっつきにくく難しいと感じている人も少なくないだろう。この点、企業が外部の関係者に向けて経営状況を報告するために作成する「財務諸表(決算書)」を読み解けば、ビジネスモデルや企業の実態が見えてくる。本記事では、西山茂氏の著書『会計クイズで学ぶ財務分析&ファイナンス 決算書の読み方を「資本コスト時代」にアップデートする』(日経BP)より「任天堂、PPIH(ドン・キホーテなどを展開)、中外製薬、ヒューリック、東京エレクトロン」の5社を取り上げ、それぞれの財務諸表の特徴をクイズ形式で読み解く。

見分けるコツは「販売促進費」と「販売管理費の比重」

それでは残ったB社とD社はどこであろうか。この2社はBSの構成や営業利益率などかなり似ているところがあり、なかなか判断が難しい。ただ、結論からすると、B社は東京エレクトロン、D社は任天堂である。

 

2社の大きな違いの1つは、東京エレクトロンが企業向けに半導体製造装置を製造し販売するB to Bの事業を行っているのに対して、任天堂がゲーム機やゲームソフトを製造し販売するB to Cの事業を行っている点である。この違いからくる特徴がいくつかの数字に表れている。

 

まずは販売促進費である。東京エレクトロンであるB社の販売促進費は、基本的にはないことを意味する「?」となっているが、任天堂であるD社は5社の中で唯一数字が入っており、そのレベルも7.4%とかなり高くなっている。

 

これは、東京エレクトロンはB to B事業を行っているため、基本的に販売促進費を使う必要がないが、任天堂はB to Cの事業を行っているため、一定の販売促進費をかける必要があることを意味している。

 

次は販売管理費の比重である。東京エレクトロンであるB社は18.4%と低くなっているが、任天堂であるD社は36.7%とかなり高くなっている。

 

これは、東京エレクトロンはB to Bの事業を行っているため、前述のように販売促進費を投入する必要がなく、さらに特定の企業の顧客に対して大量に販売する傾向があるので、販売管理費の効率が上がり、結果として販売管理費の比率は低くなる傾向があることが背景にある。

 

一方で任天堂はB to Cの事業を行っているため、それなりの販売促進費を投入する必要があり、また数多くの消費者に販売するために販売管理関連の費用がかかり、販売管理費の比率が高くなる傾向がある。

 

「B to B」事業は売上債権回転期間が長く、「B to C」事業は短い傾向

もう1つの違いは、売上債権回転期間の長さである。東京エレクトロンであるB社は73日と比較的長いが、任天堂であるD社は17日とかなり短くなっている。

 

これは、東京エレクトロンはB to Bの事業として企業向けに販売するため、販売したあとに請求書を送って回収するという構造になる関係で、回収に一定の期間がかかることを意味している。一方で任天堂は基本的に一般の消費者に販売するB to Cの事業を行っており、最近はオンライン販売の増加によってカード決済が増えているため、回収期間がかなり早くなることを意味している。

 

これまでの解説をもとに正解をまとめると次のようになる。

 

A社 PPIH

B社 東京エレクトロン

C社 ヒューリック

D社 任天堂

E社 中外製薬

 

 

西山 茂

早稲田大学大学院 経営管理研究科(ビジネススクール) 教授

公認会計士

 

 

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※本連載は、西山 茂氏の著書『会計クイズで学ぶ財務分析&ファイナンス 決算書の読み方を「資本コスト時代」にアップデートする』(日経BP)より一部を抜粋・再編集したものです。

会計クイズで学ぶ財務分析&ファイナンス 決算書の読み方を「資本コスト時代」にアップデートする

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