(※写真はイメージです/PIXTA)

大学受験における「赤本」は、志望大学の過去問を収録した定番教材として知られていますが、『株式投資の未来』(日経BP)は、投資家にとっての“投資の赤本”ともいえる一冊です。インデックス投資家、成長株投資家、高配当投資家――どのスタイルの投資家であっても、一度は読んでおきたい内容が詰め込まれています。本記事では、チャンネル登録者数24万人の投資本要約YouTuber・タザキ氏が『しっかり儲ける投資家たちが読んでいる 投資の名著50冊を1冊にまとめてみた』(KADOKAWA)をもとに、同書の主張とタザキ氏自身の見解を交えながら、成長株投資の落とし穴、配当の本質、ポートフォリオ戦略など、長期投資に必要な視点を豊富なデータとともに紐解きます。

『株式投資の未来 永続する会社が本当の利益をもたらす』

 

著:ジェレミー・シーゲル

訳:瑞穂 のりこ/日経BP

「成長国に投資すれば儲かる」は本当か

経済成長率が高い国に投資すれば、高いリターンが得られる――そう考えたくなりますが、現実はそれほど単純ではありません。

 

同書では、中国とブラジルの事例が紹介されています。1990年代から2000年代初頭にかけて、中国は高い経済成長を続け、多くの投資家の期待を集めました。一方、ブラジルは高インフレや景気低迷に苦しみ、経済環境は決して良好とは言えませんでした。

 

しかし株式市場のリターンは逆の結果となります。期待が先行し株価が割高になっていた中国市場よりも、低評価だったブラジル市場の方が高い投資成果を生み出したのです。

 

ここで重要なのは、「経済成長」と「株式投資リターン」は必ずしも一致しないという点です。企業や国の将来性が高くても、その期待がすでに株価へ織り込まれていれば、投資成果は伸び悩む可能性があります。

 

同書では、ハイテクバブルの教訓として次のようなポイントも挙げられています。

 

・バリュエーション(割高・割安)は常に重要
・人気銘柄に過度な期待を抱かない
・異常な高PER銘柄には注意する
・市場全体が熱狂している局面では慎重になる

 

「良い会社」と「良い投資先」は必ずしも同じではない――これは長期投資を考えるうえで非常に重要な視点です。

配当は非効率なのか

配当についても、同書は興味深い視点を示しています。

 

理論上、企業が利益を配当として支払うよりも、事業へ再投資した方が効率的とされることがあります。配当には税金がかかる一方、キャピタルゲインは売却まで課税を繰り延べできるためです。

 

実際、著名投資家ウォーレン・バフェット率いるバークシャー・ハサウェイは、長年にわたり無配政策を続けてきました。利益を社内に留保し、再投資によって企業価値を高める戦略です。

 

ただし、企業が現金を抱え込みすぎることで、不要な設備投資や過剰な経費支出につながるリスクもあります。いわゆる「エージェンシーコスト(代理人費用)」です。

 

その点、安定的な配当は「利益が実際に現金として存在している」という信頼の証にもなります。会計上の利益は操作できても、現金配当はごまかしにくいためです。

 

さらに、配当には下落相場での心理的な支えという役割もあります。株価が下落しても、配当を再投資することで保有株数を増やせるため、将来の回復局面でリターン拡大につながる可能性があります。

 

配当の価値は、単なる効率性だけではなく、「安心感」や「企業への信頼」にもあるのです。

インデックス投資を補完する「DIV指針」

同書では、インデックス投資を土台にしつつ、追加戦略によってリターン向上を目指す考え方も紹介されています。それが「DIV指針」です。

 

D(Dividend):持続的に配当を支払える企業を重視する
I(International):世界経済の変化を意識し、国際分散を行う
V(Valuation):割高な人気銘柄を避け、適正価格を重視する

 

また、セクター戦略にも言及されています。過去の長期データでは、生活必需品やヘルスケアなどのディフェンシブセクターが安定した成績を残してきたとされます。

 

特にヘルスケア分野は、高齢化の進展によって今後も一定の需要が期待される分野です。一方で、個別企業には創薬失敗や訴訟リスクなどもあるため、ETFなどを活用した分散投資も有効だと考えられます。

長期投資を考えるなら一度は読みたい一冊

『株式投資の未来』は、単なる銘柄選びの本ではありません。

 

「どのような考え方で長期投資に向き合うべきか」
「なぜ人気銘柄が期待外れになるのか」
「配当やバリュエーションをどう考えるべきか」

 

そうした本質的なテーマを、歴史的データをもとに解説した一冊です。

 

インデックス投資を基本にしつつ、その先の投資戦略を考えたい人にとって、多くのヒントを与えてくれる内容と言えるでしょう。

 

 

タザキ

サラリーマン投資家YouTuber

 

 

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※本連載は、タザキ氏の著書『しっかり儲ける投資家たちが読んでいる 投資の名著50冊を1冊にまとめてみた』(KADOKAWA)より一部を抜粋・再編集したものです。

しっかり儲ける投資家たちが読んでいる 投資の名著50冊を1冊にまとめてみた

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