(※写真はイメージです/PIXTA)

借入を利用して元手の何倍もの資金を動かす「レバレッジ投資」は、リスクの高さから「危険だ」といわれることが多い手法です。しかし、『ライフサイクル投資術 お金に困らない人生をおくる』の著者は、レバレッジ投資には合理的な理由があると指摘します。本記事では、チャンネル登録者数24万人の投資本要約YouTuber・タザキ氏が『しっかり儲ける投資家たちが読んでいる 投資の名著50冊を1冊にまとめてみた』(KADOKAWA)をもとに、同書の主張とタザキ氏自身の見解を交えながら、レバレッジ投資の合理性と弱点を紐解きます。

ライフサイクル投資術 お金に困らない人生をおくる

著:イアン・エアーズ、バリー・ネイルバフ

訳:望月衛/日本経済新聞出版

「レバレッジ投資」は本当に危険か?

投資の世界では、「レバレッジは危険だからやめたほうがいい」という意見をよく耳にします。実際、私自身も投資初心者から相談を受けたときは、まずインデックス投資などの王道を勧めることがほとんどです。

 

しかし、『ライフサイクル投資術』を読むと、レバレッジに対する見方が少し変わるかもしれません。

 

この本の面白いところは、「レバレッジを使うことでリスクを高める」のではなく、「人生全体で見たリスクを調整する」という発想を提示している点です。

 

私も初めて読んだときは、一般的なレバレッジ論とは異なる考え方に驚かされました。

若い人ほど投資できる金額が少ないという現実

長期の積立投資は、多くの投資本で推奨されています。毎月コツコツ積み立てることで購入タイミングを分散し、市場の変動リスクを和らげるという考え方です。もちろん私自身も、長期・積立・分散は資産形成の王道だと思っています。

 

ただ、本書が指摘しているのは、「若い人ほど投資に回せるお金が少ない」という現実です。一般的には、20代よりも40代、40代よりも50代のほうが収入は高くなりやすく、投資額も増えていきます。つまり、時間は若い頃にあるのに、お金は人生の後半に集中しやすいのです。

 

本書は、このアンバランスさに着目しています。

 

そして、人生全体で見た投資配分を考えると、若い時期にもう少し大きく市場へ参加する方法があってもよいのではないか、という問題提起をしています。

「人的資本」という考え方は非常に興味深い

本書で特に印象的だったのが、「人的資本」という考え方です。若い人は金融資産こそ少ないものの、これから何十年も働いて収入を得られる可能性があります。将来の収入を生み出す能力そのものを資産として考える発想です。

 

この考え方に立てば、若い人は金融資産だけを見るとリスクを取っているように見えても、人生全体の資産構成では必ずしもそうとは言えません。

 

逆に、高齢になるほど人的資本は減少し、金融資産の比重が高まります。

 

本書は、こうした人生全体のバランスを考えながら投資を設計する重要性を教えてくれます。投資信託やETFの選び方を解説する本は数多くありますが、「人生全体をポートフォリオとして考える」という視点を学べるのは、本書の大きな魅力だと思います。

誰にでも当てはまるわけではない

もっとも、この考え方をそのまま全員に当てはめるのは危険です。たとえば、公務員や大企業の正社員など、収入の安定性が高い人と、自営業者や景気変動の影響を受けやすい職種の人では状況が異なります。

 

後者の場合、仕事そのものが株式市場や景気と連動しているケースも少なくありません。そう考えると、人的資本の性質は人によって大きく違うことになります。

 

本書を読む際も、「自分の場合はどうだろうか」と考えながら読むことが大切だと感じました。

「レバナス」と本書の主張は同じではない

近年は、レバレッジ型の商品を積み立てる投資法が話題になることがあります。しかし私は、本書の主張と、単純なレバレッジ商品の積立投資は必ずしも同じではないと考えています。本書の著者たちは、人生全体の資産配分やリスク管理を前提に議論しています。

 

一方で、SNSなどでは「レバレッジだから儲かる」という部分だけが切り取られて語られることもあります。もちろんレバレッジには魅力があります。ただし、本書が伝えたいのは「大きなリターンを狙う方法」ではなく、「人生全体の資産形成をどう設計するか」という考え方なのではないでしょうか。

レバレッジ商品の弱点も理解しておきたい

私は本書の問題提起には非常に価値があると思っていますが、一方でレバレッジ型投資信託については慎重に考えるべきだとも思っています。レバレッジ商品は、市場が順調に上昇している局面では高い成果を期待できます。

 

しかし、相場が不安定になったり、大きな下落が発生したりすると、想像以上に大きな損失を抱える可能性があります。

 

また、価格変動が大きい局面では、本来イメージしていた値動きと実際の運用成果に差が生じることもあります。

 

こうした特徴を理解せずに購入すると、「思っていた商品と違った」という結果になりかねません。

「守りすぎるリスク」も考えさせてくれる一冊

『ライフサイクル投資術』は、レバレッジ商品を勧める本というよりも、「人生全体でリスクをどう取るべきか」を考えさせてくれる本だと私は感じています。投資では、リスクを取りすぎることが問題視されがちです。

 

一方で、必要以上に保守的になりすぎることによる機会損失も存在します。

 

本書は、そのバランスについて改めて考えるきっかけを与えてくれます。投資信託やETFの選び方だけではなく、「自分の人的資本と金融資産を合わせて考える」という新しい視点を学びたい人にとって、非常に示唆に富んだ一冊だと思います。

 

タザキ

サラリーマン投資家YouTuber

 

 

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※本連載は、タザキ氏の著書『しっかり儲ける投資家たちが読んでいる 投資の名著50冊を1冊にまとめてみた』(KADOKAWA)より一部を抜粋・再編集したものです。

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