戸籍が「増える」3つの主な要因
たいていの人は、戸籍と聞くとひとりに一通だけと考えるようですが、必ずしもそうではありません。
ここまでお話ししたように、たしかに現在有効な「現戸籍」は一通しかありませんが、「除籍」となったり「改製原戸籍」となったりしているものも含めてすべて本人の戸籍です。
ここで戸籍が増える要因をもう一度整理してみましょう。ひとつ目は婚姻です。結婚を機に夫婦で新しく編製された戸籍に入籍します。
二つ目は転籍です。役所の管轄が異なる場所へ本籍地を変更すると新しい戸籍が作られます。
三つ目は改製です。法改正によって新しい様式の戸籍が作られます。これは個人の行動によるものではないので、ほとんどの人が気付かないうちに戸籍が新しくなります。
加えて戦前の戸籍は「家」単位で、分家と家督相続(前戸主の隠居や死亡)も戸籍作成の理由となります。
家系図を作成するためにはすべての戸籍を取り寄せる
そして、家系図を作成する際は、これらの戸籍をすべて取り寄せていかなくてはなりません。「本籍地は変えても家族構成は変わらないのだから、別に全部取り寄せなくていいのでは?」と考えてしまいがちですが、じつは家族構成が変わったかどうかは、すべての戸籍を取り寄せてみなくは判断できません。と言うのも、前の戸籍で死亡や転籍となった人物は、新しい戸籍には名前が記載されません。つまり、現在見ている戸籍には名前がなくても、そのひとつ前の戸籍には名前のある親族がいる可能性があるため、すべてを見る必要があるのです。
●戸籍はひとり1通とは限らない
年齢とともに戸籍も増える!?
生まれたときは保護者の戸籍に入って おり、その後、婚姻、転籍、法改正 による改製などでどんどん戸籍の数は増えていく。また戦前は分家や隠居も戸籍作成の理由となっていた。
+α 取り寄せた戸籍は遺言や相続にも有効
遺産相続をする場合、被相続人(死亡した人)の出生から死亡までのすべての戸籍をとぎれなく取る必要があります。
これは、被相続人の戸籍を見ていくことによって、相続人が誰かが確定されるからです。たとえば結婚する前に子どもが生まれ、密かに養子縁組をしていたケースなどが考えられます。そうした隠れた相続人がいる可能性をすべて明らかにするためです。
戸籍が一枚でも欠けていると、その間に除籍となった子どもは、もう、次の戸籍には載りません。とぎれなく取らなくてはならない理由はそこにあります。目的はちがっても、正確な家系図を作るために取り寄せるひとつながりの戸籍は、そんな大きな役割を果たすこともあるのです。