最終回の今回は、くずし字や変体仮名など、古い戸籍で多く見られる「読みづらい」文字についてお伝えします。※本連載は、行政書士の橋本雅幸先生の著書、『江戸時代の先祖と出会 自分でつくれる200年家系図』(旬報社)の中から一部を抜粋し、家系図をつくるうえでもっとも重要となる「戸籍」についての基礎知識をお伝えします。

「壱」や「弐」など、数字の偽造を防ぐ大字(だいじ)

戸籍を取り寄せ、最初に戸惑うのは判読です。古い戸籍は毛筆で書かれていたりくずし字で記されていたりして、読みづらいものです。

 

ただし、隅から隅まで読む必要はありません。出生、婚姻、転籍、改製、分家、相続、隠居。筆頭者または戸主の身分事項欄と戸籍事項欄に登場するこれらのキーワードを追いかけ、あとは日付と名前をひろっていくようにしましょう。

 

習うより慣れろで、実際に取り寄せてまずは読んでみることですが、とくに古い戸籍の表記で特徴的なのは大字(だいじ)と変体仮名です。

 

「一」を「壱」などと書いて偽造防止としたのが大字ですが、これは下の表に出てくる程度を知っておけば大丈夫です。また、変体仮名は女性の名前に多く使われますが、だいたい二文字程度です。

判読が難しい場合は、コピーを送って役所に尋ねる

意外に苦労するのが、地名と名字の切れ目です。たとえば「大字坂戸井田五右衛門」の場合、大字が「坂戸」で名字が「井田」か、それとも大字が「坂」で名字が「戸井田」か、などです。その地域の地名を探してもヒントが得られない場合は、役所の担当者に相談するのがよいでしょう。

 

また、不鮮明な文字など、どうしても判読できない箇所は、コピーにマーカーや付箋で印をつけて、役所に郵送で問い合わせてみるのが確実です。その場合は切手を貼った返信用封筒を忘れずに。電話で質問するのもよいでしょう。役所に戸籍の判読を丸投げするのではなく、わからない部分だけならたいてい手助けが得られるはずです。

 

不鮮明な文字

濃淡の調整をしてもらい、役所から再提出してもらうと鮮明になる場合も多い。

不鮮明な文字
濃淡の調整をしてもら
い、役所から再提出し
てもらうと鮮明になる
場合も多い。

くずし字・異体字

くずし字や異体字字典を参考に解読。戸籍担当者や書道経験者などにたずねるのもよい。

くずし字・異体字
くずし字や異体字字典を
参考に解読。戸籍担当者
や書道経験者などにたず
ねるのもよい。巻末に異
体字の例を掲載。

変体仮名

明治~昭和初期の女性の名前に 多い。巻末付録に変体仮名の例 を掲載。

変体仮名
明治~昭和初期の女性の名前に
多い。巻末付録に変体仮名の例
を掲載。

【図表】大字を知っておこう

大字(だいじ)は、数字の改ざんを防ぐために公的な文書や領収書などに用いられる。戦前の戸籍はもちろん、昭和23年式戸籍にも大字で書かれた年月日が登場する。一、二、三など、あとから線を書き加えて改ざんしやすい単純な漢数字の替わりに用いられているので種類はそう多くはない。下の例では上から昭和弐拾四(24)年拾壱(11)月。平成参(3)年、拾壱 (11)月拾九(19)日となる。

大字(だいじ)は、数字の改ざんを防
ぐために公的な文書や領収書などに
用いられる。戦前の戸籍はもちろん、
昭和23年式戸籍にも大字で書かれ
た年月日が登場する。一、二、三など、
あとから線を書き加えて改ざんしやす
い単純な漢数字の替わりに用いられ
ているので種類はそう多くはない。
右の例では上から昭和弐拾四(24)
年拾壱(11)月。平成参(3)年、拾壱
(11)月拾九(19)日となる。

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